第20回 現代美術ってなに!?

現代美術を定義するのは、簡単なことではありません。その理由は、ただでさえ多様な解釈を楽しめるアートの世界の中でも、特に難解だといわれている領域だからです。現代美術の起点となる作品や明確な時代区分、その判断材料も多種多彩。絵画や版画、立体作品をはじめ、写真や映像、音楽や文学に至るまで、アートと呼ばれるすべての領域に現代美術は息付いています。
有名なものを挙げてみましょう。「現代アートの父」と呼ばれているのは、マルセル・デュシャンという人物。彼は既製品の便器に「リチャード・マット」と署名しただけで、一つの作品として完成させました。当時はこの試みに批判も多かったのですが、「芸術とはなんだろう。作品とはなんだろう」といったことをはじめ、さまざまな問いかけをもたらすものでした。現代における作品のメッセージも、鑑賞する人に「?」を与えるものであることから、現代アートにおいて重要な位置付けにあるわけです。さらに作品の知名度が高いと思われるのは、アンディ・ウォーホルの作品。キャンベル・スープやマリリン・モンローのシルクスクリーンは、ポップアートの代名詞といっても良いほど広く知られています。日本の作家を見てみると、『お花』の村上隆や水玉模様のモチーフで知られる草間彌生が有名な作家です。

有名無名を問わず、地域性も問わず、現代美術に通じるキーワードはいくつか見つけられます。例えば「自由」。既存のスタイルを更新していくことを一つの目的として、常に新しいものを追求していることが大きな特徴。自由故に前衛的であり、万人の理解や納得を得にくいのが現代美術の葛藤でもあるわけです。さらに見出せるのは、上述のデュシャンにあるような「問いかけ」や「メッセージ」。常識にとらわれない新しさや価値観の変化を求めて、「芸術」や「人類」といった壮大なものから、個人的な疑問を具現化させる表現方法をとっています。さらには現代の感覚として特徴的なものは「ビジネス」との兼ね合い。作家自身はもちろん、ギャラリーやスポンサーたちも、アートシーンに関わるお金の動きを無視することはできません。一つの作品やイベントが社会に対してどのような価値を持っているのかという目は、現代美術と切り離せない要素です。

さらに「美」や「テクニック」、「グローバリズム」など他の要素が複雑に絡み合っているのが現代美術を難解にしている原因であり、同時に魅力となっています。宗教や技法、思想的な制限のない現代においては、多様な価値観が認められており、それはアートに関してもまったく同じ。「よくわからないから、生理的に受け付けないから」と頭ごなしに拒絶せず、少しずつ親しんでもらえたら自分の世界も拡がっていくはずです。頭の刺激や価値観の洗練といったことにもつながり、きっと人間的な成長をもたらしてくれることでしょう。

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