物語.40

案の定、いつものスターバックスに勇一はいた。私の隣には獲物を刈るような目付きになった由香がいるが、もう私も面白くなってきたので、好きにすれば良いと思い出してきた。

「勇一!」

勇一は新型のMacbookを使って、何やらデザインの加工をしていた。とにかく彼はMac信者と呼ばれている類いの人間らしく、新しいデザインが出たらすぐに飛びついている。

どうも、ウィンドウズに限っては全てが気に入らないらしく、使う気にならないらしい。まぁ、私もたまたまマックなので火の粉を浴びずに済んでいる。

「遅くなってごめんね」

「いや、やることあったから大丈夫だよ。あ、コレでコーヒー飲みなよ」

勇一はレシートを私によこす。どうも、ドリップコーヒーの場合、2杯目はレシートをもっていけば同商品が100円になるサービスをしているみたいだ。

「うわ。助かる。ありがとう」

「由香さん、お久しぶりです」

「どうも~。こんな年末まで仕事なんて大変ね」

「いや、接客業だって年末年始無いようなものでしょう?それに比べたら、僕らなんて全然です」

「ねぇ。私は本業は年末年始休業ですから、沙織さんにお世話になります」

「まだ、決まった訳じゃないからね」

「無理矢理出勤するから」

「止めて!」

勇一は楽しそうに笑っている。大晦日だというのに、店内には結構な人がおり、中には勉強や仕事を1人でしたりしている人もいた。

何となく、こうでもしないと生き残って行けない程、厳しい国になってしまったのかと、少しだけ寂しくなった。

「よし、とにかく頼み行こ」

「了解」

案の定レジには、由香がお気に入りの彼がいた。

「あ、いらっしゃいませ。今日もソイラテですか」

「さっすが。分かってる」

どうも、私がいない日にも彼女はこの場所に足繁く通っていたらしい。

「私はこれと同じ物を…」

「かしこまりました」

「ねぇ、今日も最後まで仕事ですか?」

「そうですね…。社員なんで休めないんですよ」

「そうなんですか。じゃぁ、明日も出勤ですか?」

「明日はお店休みなんで2日からですね」

「じゃぁ、終わったら私達とカウントダウンすればいいじゃんね」

「は?由香。何を言ってるの?」

「この後さ、沙織の家でパーティーすればいいじゃん」

「って、何も無いって。勇一もいるし」

「良いんじゃない?勇一君には私からいうし。どうですか?」

「え…。いや…お邪魔でなければ良いですが」

「ほら決まり!」

この人間はどうかしている。久々に出会ったが、本当に後先考えないモンスターだ。結局、年末年始をこの4人で過ごす事になったのは言うまでもなかった。

つづく

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