物語.42

何年振りかわからない。素晴らしい日である元旦を、こんな気持ちの悪い体調で迎えることになってしまったのは。

リビングには昨夜…いや今朝かもしれない、食い散らかされた菓子類にアルコールの缶。床には、大の字で寝そべっている女性に大男。どうも、私のパートナーはちゃっかりベッドで寝ているらしくこの場にはいない。

しかし、私もこの床の住人の仲間の1人だったらしく、体が異様に痛い。幸い、テレビやヒーター系などの電化類は消えているので、喉も痛くはないし危険もない。

頭の2割程度しか働いていないようだが、私は取り敢えず本能で近くの物を片付け出した。「ん…ん…」由香だろう女が何回も寝返りを打つ。

こういった時、本来であれば起きて手伝って欲しい、という気持ちになるものだが、まだ対人を受け入れられない寝起きの状態では、是非一生就寝しててくれ、と願ってしまうのが不思議だ。

「気持ち悪いな…。楽しかったとは思うんだけど…、覚えてない…」

パソコンにはyoutubeが検索されており、検索バーには「TUB」まで記入されている。よくわからないが、恐らくTUBEを検索しようとしたんだろう。

これは確実に由香の仕業だ、この真冬にTUBEを聴いて暑苦しく行こうという趣向だろう。どこまでもアホ…。しかも、新年早々こんな状態では運気も下がってしまいそうだ。

この人達が起きた時には、完璧キレイな状態にしておき、おせちでも食べたい。昨日、もしかしたらということで、おせちは買っておいた。どうせ勇一とは食べきれないだろうから、この人達の存在は助かる。と、なると急ピッチで掃除&料理の準備だ。

「えぇと…。エビあったよね…。あと、カマボコはお店からもらってきたから…」

適当に台所に材料を並べておく。お吸い物ぐらいならできそうだ。ひとまず、リビングを片付けて暖房を付けた。これで、この人達は気持ちよく起きれるはずだ。さらに、お風呂も入れておこう。

というか、私自体がシャワーだけでも浴びなければ…。誰も起きていない時に全部用意を終わらせる。このサプライズが私は大好きなようで、どうも張り切りだしてしまう。

「コンビ二にいってお茶だけでも買ってこなくちゃ…」

気持ちが悪い、などと言っていたのが嘘かのように、私はエンジンが一気にかかっており、ふと鏡を見ると笑顔の自分がそこにいた。

つづく

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