物語.44

マンションの近くに最近できたコンビ二は生鮮食品が多く販売されている。
どうもコンビ二で生鮮食品を購入する、というのは抵抗があったのだが、今日は仕方がない。

普段、生鮮食品を買うために利用している訳ではないので、鮮度などを分けるコツがわからない。

ニュース番組のミニコーナーなどで“超便利だ”と、特集されていたが、やはり普段パック商品を購入するために利用しているコンビ二に、鮮度が良い商品が並んでいるのは異様だ。

便利が日々詰め込まれたコンビニの10年後の姿は一体どんなことになってしまうのか…。小さな店舗の中で私はとにかくどうでも良いことを考えこんでしまった。

「いらっしゃいませ。ポイントカードはお持ちでしょうか?」

「あ、いえ…」

「お作りいたしますか?」

「あ…け、結構です」

このやり取りが毎回面倒だ。私はポイントカードを作りたい派なのだが、コンビニではやっぱりできない。どうも、スピーディにことを済ますことを目的とした場所で、レジに長時間止まるのは気がひける。

そのため、私はこういった場所で宅急便も出せないのだ。

「ありがとうございました。またお越し下さいませ。いらっしゃいませ…」

元旦から張り切って流れ作業なんて大変だな…。レジの男性はいかにも不健康そうな色白の肌をしており、正月早々カミソリ負けした髭剃り後が目に染みる。

田舎にいた頃はよく同級生の男の子が、気持ち悪そうな顔でバイトしていたことを思いだす。おめでとう、などと軽く挨拶を交わし、レジで適当な会話と正月の過ごし方を聞き出していた。

今あの男の子は何をしているのだろう。きっと普通の会社に勤めて、結婚をして子供もいるのだろう。

田舎の28歳と、こっちの28歳は少し違う。まだまだ私なんて若い方だろう。子供の時に思っていた28歳とは大分違うけれど、まぁ楽しく生活できているのだからこれはこれで良しとしたい。

また感傷的になってしまったが、早く帰ってみんなのために年始の宴の準備をしよう。少しだけ元気に、そして早足で私はマンションに帰った。

つづく

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