第23回 現代美術って私にもできる!?

現代美術に限らず、創作活動は決して特別な才能を持っている人や、たくさんの資金を必要とするようなハードルの高いものではありません。もしかしたら現代美術を見て、「これぐらいなら自分にもできるんじゃないかな」と思った人がいるかもしれません。

画といえばキャンバス、絵の具、筆の3点セットが必要と思われますが、紙と鉛筆だけのラクガキも立派なアートの一つ。現代ではパソコンのペイント系ツールをはじめ、フリーソフトでも絵を描く楽しさをリアルに再現することができます。

画に限らず、今ではデジカルカメラやビデオカメラが広く普及していて、その加工方法も多種多彩。日常の何気ない1シーンの写真もアートの対象になるものですね。立体作品やオブジェに関しても同じように、難解なコンセプトではなくても、ちょっとしたひらめきや表現したいと思うイメージを作品に持たせることができるのです。もちろん音楽や文学、ダンスなどにも、自由な表現が認められています。

しかし現代美術に限らず、創作活動において注意しなければならないポイントが2つあります。1つは「模倣はNG」。現代美術の名作として知られているのは、マルセル・デュシャンの『泉』という作品。これは便器に署名をし、一つの芸術作品として堂々と出品することで成立させたものです。しかしそういった表現は今までになく、当時の美術界に対するアンチテーゼが作品に込められていたこともあって、高い評価を受けました。誰もが思いつきそうで、誰もやらなかったこと、というのが現代美術の魅力の一つかもしれません。自分のアイデアは大切にしつつ、人がやっていることをそのまま自分のオリジナルのように語るのは厳禁です。あくまで模倣は練習として、自己研鑽の一つに留めておきましょう。二番煎じになるのを恐れて表現の幅を狭くするのは良くないけれど、自分の作品が完全なオリジナルであると主張するのは考えものですね。まして、人の作品をあたかも自分が思いついたかのように喧伝するのは褒められる行動ではありません。世代や地域、文化が異なっても、同じ人間が考えついたものです。似通ってしまうのも仕方ありません。似たような作風に出くわしたら、非難するより自分の作品を洗練されたものにするための努力をした方が、実力向上のために有益です。

2つめは、オリジナルを追求しすぎて自分の世界に埋没してしまうことです。人や世間に理解されない、受け入れられないからといって、自暴自棄になってはいけません。まして、他人の作品を貶めるのはアーティストというより、一人の人間としてのおもしろみをなくしかねない行為です。自分の作品ばかりを溺愛せず、いろいろな作家や作品の良いところを見出し、学び、いかして、クオリティの高い作品を生み出していってください。現代美術は、現代に生きるすべての人に対して与えられるジャンルです。もちろんあなたもその一人であることは言うまでもありません。

 

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