食のグローバリゼーション 11

山盛りの野菜と酸っぱくてピリ辛風味のスープとともに味わうライスヌードル

~ ヴェトナム料理 ブン・ボー・フエ ~

日本を含めアジア地域の人々は、米を主食としている。あっさりとした味は、どのような料理にも合い、メイン料理の味の引き立て役となる。米が主食だとは言っても、おにぎりやお茶漬けなどを除けば、米だけで一食を済ますとなると味気ないものだ。ところが、スープとともに食べる麺類は、軽めの昼食にはもってこいだ。日本人にとって麺類は、米に次ぐ第二の主食とも言える存在になっている。

そば、うどん、きしめん、ラーメン、素麺など、日本の麺の種類はとても豊富だ。同じ麺であっても、地域によって微妙に味が異なる。一般的に、そばは東日本で、うどんは西日本で好まれているようだ。日本に近い食文化をもつアジア地域にも、国によって特徴のある麺が食材として使われている。麺を追ってアジア地域を食べ歩きするのも楽しく、バラエティー豊富な味わいに巡り合うことができる。

中国のラーメンは、日本の伝統食ではないながら、全国の町中に夥しい数のラーメン専門店が並び、今や日本食と言っても過言ではないだろう。南に下ってヴェトナムに目を移すと、代表的な麺のフォーに出会える。米粉を材料とした白くてコシのない太めの麺だ。ヴェトナムでも主食は米だが、フォーは国民食とも言える存在になっている。

米を水に漬けて挽き、ペースト状にしたものを高温の金属板の上に薄く曳く。暫くして固まった米粉を麺の形に裁断すると、ライスヌードルのフォーができあがる。鶏肉や牛肉で出汁をとった透明であっさりしたスープに浸し、鶏肉や薄切りの牛肉、肉団子などを具として加えて食べるのが最も一般的だ。

日本と同じように、ヴェトナムにもいろいろな麺がある。フォーとともに人気がある麺がブンだ。フォーと同じライスヌードルだが、こちらはウルチ米の粉を捏ねて作る。ヴェトナム中部の人気食材だが、今ではヴェトナム全土に広がっており、海を越えて日本にも伝わっている。

ヴェトナム中部の中心都市フエには、1802年からフランスの植民地統治が始まる1887年までの約80年間、ヴェトナム最後の王朝として国土を治めた阮朝が首都を置いた。この古都の名物料理の一つに、ブン・ボー・フエがある。ヴェトナム語で「ボー」は牛を意味し、日本語にすると、「フエ風牛肉汁米麺」とでも言えようか。

スープは、レモングラスと赤唐辛子を炒めて作ったサテや、魚醤のニョクマム、塩辛、豚足、牛肉などから出汁を取る。具には、ヴェトナム風の蒲鉾などの練り物や、牛の腿肉に加えて、薄荷葉、空芯菜、甘蕉の茎、モヤシ、香草など、多種多様の野菜が使われる。

透明なスープの中に浸かった麺の上に野菜がどっさりと山盛りになって出てくると、ボリューム感たっぷりだ。レストランによっては、スープに浸した麺と、野菜を盛った皿が別々に出てくる場合もある。

レモングラスと赤唐辛子が、スープを酸っぱくてピリッと辛く仕上げている。これに各々の具材が、バランスのとれた風味を加えてくれる。東南アジア地域で特徴的なテイストだ。スープを麺にしっかり絡めて口に運ぶと、もちもちっとした麺の食感を楽しむことができる。

酸っぱさが物足りないと感じたならライムを絞る。辛さが物足りなければ、さらに赤唐辛子を加える。スライスしたニンニクやチリソース、ニョクマムをトッピングして、香りを変えることもできる。一年中暑いヴェトナムで、辛い料理を食べると、額から汗がしたたり落ちてくる。流れる汗をふきながら麺をすするのは、アジア地域での食文化の醍醐味と言えるだろう。

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