ネットラジオVol.2 ルクセンブルグ

上野の文化会館でピアノ・リサイタルがあった。クラシックを聴くのは一年ぶりだろうか、久しぶりに上野界隈を歩こうと開場の2時間前に着いた。美術館、博物館周辺をぐるりと廻り往時を懐かしむ。

上野へ行くと必ず立ち寄る蕎麦屋、生憎暖簾は出てなかったが入口の隙間から鯖節か鰹節の入り交じったダシの香りが空きっ腹を誘惑する。

後ろ髪を引かれつつも会場へ急いだ、ホールは開演を待つ人でごった返しこちらの予想を覆すほどの長蛇の列。

カタログにはルクセンブルクの奇才フランチェスコ・トリスターノ・シュリメ、と謳っていたが額面通りには行かないのが世の常、御年29歳。

ピアノ・リサイタルは時に退屈であり、無味乾燥に思えるほどワレリー・アファナシェフ以外魅力を感じてはいなかった。が…しかし演奏メニューは「J.S.バッハ」を主題としたコラール組曲〜フランス組曲、シュリメの指は噂通り観客を唸らせてくれた。かのグールドの再来かとも、鍵盤の幅いっぱいに広がる流麗な旋律、大小の弦から放たれるその音色は「花房」のようでもあった。

手渡された解説書には、ジャズの作曲も、さらにはテクノと幅広い才能を持っていると書かれていた。バッハが終わり、アンコールはコンテンポラリージャズ、しかもオリジナル。所々電子音楽というかテクノを思わせる箇所があったりしてジーニアスを予感させる一夜であった。

シュリメを知った以上、ヨーロッパジャズが今や奔流のような気がしないでもない、北欧もしかり。アメリカよ、どうした、と言いたくもなる。

ルクセンブルクのジャズシーンはどうなんだろう、早速ネットラジオをチェックする。ルクセンブルクの公用語はフランス語、ドイツ語、ルクセンブルク語の3言語。隣接する国がフランス、ベルギー、ドイツということもあり、3言語というのも頷ける。目的のウェブを開くとドイツ語のようだかどこかスペルの雰囲気が違う、もしかしてルクセンブルク語だろうか。

迷いながらウェブ上にあるラジオ局を探す、聴こえてきたのは、Electronica…ただし定義するのは難しい、人によって意見が異なるので断言は避けたい。あの「Hotel Costes」のようなサウンドに近かった。イメージ的には堅苦しい国に思えたが、そこはやはりヨーロッパ、流れる曲も洗練されていた。僅か一時間ほどの「小旅行」であったけれど、ルクセンブルクの街にいる気分に浸れた。

 

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