ベネチア・ビエンナーレでの日本人

2年に1度、イタリアのベネチアで行われる現代アート最高の祭典である“ベネチア・ビエンナーレ”。今年の開催で何と55回を迎えます。

そして、今年も恒例の開催初日に各表彰者が発表。様々なアーティストや国に素晴らしい賞が贈られました。さて、今年のベネチア・ビエンナーレなのですが、日本国として始めての“特別表彰”ということで、映像作家の田中功起の日本館展示が受賞をして話題になりました。これは、我が国の現在アートの歴史の中で非常に意義のあることであり、本当に素晴らしい良い意味での“事件”でした。
この田中さんインスタレーションとは他に、個人の企画展として「大竹伸朗・澤田真一・吉行耕平」の3人が参加しています。惜しくも賞こそ受賞されなかったものの、この現代アートの祭典へ3人も日本人が参加できていることを、本当に誇らしく感じます。

以前の記事でも書いたかもしれませんが、大竹氏は欧州で始めて発表するスクラップブックの全66冊の展示です。破天荒でありながら、その繊細で計算し尽くされたアートは見る者を圧倒。必ず大竹ワールドへ引きずり込む、唯一無二のアーティストです。
そして、澤田真一氏。彼は31歳の陶芸家なのですが、何と自閉症と知的障害を抱えており、言葉というものを一切話さない。
このビエンナーレに出展できるというのは、基本的には1流のアーティストにしか与えられない最高の名誉です。障害による偏見や差別、そういったアートの本質を無視した審査はされず、本当に澤田氏を評価するこの祭典は、我々も見習わなければいけない大切なことです。ちなみに、この澤田氏の作品のヤンルとしては「アール・ブリュット」といった、利益を求めること無く、内面だけを証言するというジャンルです。今回、澤田氏の作品は世界中のアートに関わる多くの人々の心に深く残り続けることは間違いないでしょうね。
吉行耕平氏は写真家として、お馴染みの公園シリーズを出展します。公園で寄り添うカップルと、それを覗き見る人々を写した写真集「ドキュメント・公園」は、アート写真好きな方であれば知らない人はいないでしょう。まさに、サブカルチャーをアートにした伝説のカメラマンです。

なかなか現地に足を運ぶことができない方も多いでしょうが、このベネチア・ビエンナーレに現代美術の“今”が映し出されています。この祭典を通して、また新しい何かが生まれていく。そんなことを期待せずにはいられませんね。

 

 

関連記事

アーカイブ

ページ上部へ戻る