食のグローバリゼーション 17

立夏の前の土用の丑の日には、夏バテ防止のための栄養補給

~ 日本料理 うな重 ~

地球の温暖化現象なのか、年を追うごとに夏の暑さが増しているように感じる。猛暑の日々が続くと食欲は減退し、体力を失ってしまう。日本では古くから暑い夏を乗り切る栄養をつけるために、うなぎを食べる習慣がある。土用の丑の日には、町のうなぎ屋は大繁盛だ。例年夏になると、うなぎ屋の店頭に貼り紙される土用の丑の日の文字で、日頃意識することのない暦が頭をよぎる。そもそも土用の丑の日というのは、どういう定義づけになっているのだろうか。

先ず、土用というのは、五行に由来する暦の雑節で、立夏、立秋、立冬、立春の四立の直前約18日間を指す。この土用にあたる日々の内で、十二支が丑となる日が、土用の丑の日とされる。従って、夏以外の季節にも土用の丑の日は存在するのだが、話題に上ることがあるのは、夏の土用の丑の日のみだ。立夏前の18日間の土用には、年によって1日と2日の丑の日が暦の中に登場する。

今年2013年は、立夏前の土用の期間の中に丑の日は2日あり、7月22日、8月3日が土用の丑の日となる。この内、うなぎ屋が土用の丑の日とするのは、1日目の7月22日だ。8月3日は第二の土用の丑の日と言われることもあるが、うなぎ屋が商売熱心になることはないようだ。

暦の読み解き方はさておき、夏の暑い時期には、やはりうなぎを食べたくなるものだ。その思いを実現させるためにうなぎ屋に向かいたいところだが、さらにもう一つの疑問が生じてしまう。夏にうなぎを食べる習慣は一体いつ頃から始まったのだろうか。

その起源は諸説あるようだが、最も一般的なのは平賀源内のうなぎ屋に助言を行ったこととされている。売上があがらないうなぎ屋に、平賀源内が「本日丑の日」の貼り紙をするようにアドバイスしたところ、そのうなぎ屋が大繁盛したと言う。それを他のうなぎ屋が真似することで、夏の日本の食文化が定着したと伝わる。

噂の真偽はともかくとして、夏バテで減退した食欲を活性化するためには、うなぎは良さそうだ。ビタミンAやビタミンBが豊富に含まれるため、体力増進には効果がある。ところが、うなぎの旬の時期は、冬眠に備えて身に養分を貯える晩秋から初冬にかけての季節だそうだ。旬の時期を外しながらも、うなぎは夏の季節の食材であることに変わりはない。

土用の丑の日の貼り紙に誘われ、うなぎ屋の暖簾を潜る。大半のうなぎ屋は、うなぎ一品で商売をしているため、メニューが豊富というわけにはいかない。それでも、テーブルに着くと料理の注文に悩んでしまう。メニューから料理の種類を選ぶというよりは、特上、上、並などのグレードを財布の中身と相談する時間が必要となることが多い。

一年に一度の機会なのだから、奮発して特上を注文する。うなぎの開き方から焼き方まで、地方や店によって千差万別だ。でも、全ての店で共通していることは、注文してから料理が出てくるまでの時間が長いことだ。同じ魚でも、いわしやさんまなどとは大違いだ。店の秘伝のタレを何度も何度も塗り重ねながら、時間をかけてうなぎを蒲焼きにする。タレは各店の重要なレシピではあるが、焼き方にも各々の店のノウハウが凝縮されているのだ。

焼き上がったうなぎの蒲焼きを、重箱の中のご飯の上に載せ、さらに蒲焼きのタレをかけることによって、漸くうな重が完成する。柔らかでジューシーなうなぎの身の味を甘いタレが包み込んむ。メインのうな重に、うなぎの肝吸い、後は香の物があれば他に何もいらない。極めてシンプルなラインナップだが、満足度の高い充実の一食となる。

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