フィヨルドから流れる、北欧ジャズ

森泰人氏、30年も前にスウェーデンに移り住み、北欧を中心にジャズ活動を始めたベーシスト。帰国すると必ず連絡が入ったが、最近はその機会も少なくなって互いにメールでのやり取りに終始している。

彼はスタン・ゲッツ最期のヨーロッパツアー演奏に参加したのはあまりにも有名である。http://www.youtube.com/watch?v=FW12liFF52g

この時スタン・ゲッツは肝臓がんに冒され、それも末期だったという、それでもゲッツの音色はとても素敵だった。

森氏は日本と北欧を結ぶ、音楽を通じての文化交流を目的としている。人的交流、これまで商業的にも難しく、紹介される機会の少なかったジャズの交流を一層盛んなものにする事を基軸に、「草の根運動」的にコンサート活動を展開している。それを一つにしたのが、スカンジナビアン・ジャパン・コネクションだ。

2011年には、東日本大災害被災者支援ライブのためにツアーを組み苫小牧、札幌、山形、盛岡、秋田、富士市、東京と義援金を集めに奔走したこともあった。スウェーデンに於いては、Bohuslän Big Band, Anders Persson Trio、Anders Persson「Personkrets II-V-I」 Ewan Svensson Trio、Maria Rylander Group、”Winduo” との活動を中心に、スウェーデンのみならず、北欧各国、欧州、中央アジアでも多くのセッション、プロジェクトで活躍している。

日本では、市原 康、福田重男との人気トリオ ”TRIO'”、その他、ウォン・ウィンツァン(p)、おおたか静流(voc)、鶴谷 智生(ds)、松本圭司 (p)、住友紀人(sax)、井上淑彦(ts)、さがゆき(voc)、中川昌三(fl)、齊藤徹(b)、と云った多くの アーティストたちとのセッションも精力的に行っている。

 

ジャズは、アメリカ本国よりも北欧ジャズが奔流になりつつある。北欧の気候の中、澄んだ空と冷たい空気を感じさせるクールなリリシズム独自の音楽、それが北欧ジャズだ。録音は雑味の無い音で録音されることが多く、このような違いを感じて「北欧ジャズ」が他のヨーロッパのジャズと違う位置づけがブームを呼んでいる所以だ。フランスに於いては、クラッシックの伝統を感じさせる、ドイツは現代音楽の硬質性、イギリスはロックとの活発な交流から生まれるフレキシビリティを感じさせると言ったところだろうか。

北欧とはスウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、アイスランド、グリーンランド、オーランド諸島、フェロー諸島の計5ヶ国3地域のことをさし、基本的に「北欧ジャズ」(英語ではNordic jazz)とはこの地域に生まれたジャズのアーティストが奏でる音楽のことを言う。ヨーロッパのジャズを意味する「ユーロジャズ」や「ヨーロピアンジャズ」という言葉があるにもかかわらず何故に「北欧ジャズ」と分類されるのか、はたまた東欧や西欧でも素晴らしいジャズのアーティストはいるのに「東欧ジャズ」や「西欧ジャズ」という分類はされてない。

そんな中、森氏から北欧の歌姫と呼ばれるヴォーカリストを紹介された。

類稀なる歌声とテクニックで独特のメロディを紡ぎ出す、Yukimi Nagano。スウェーデンのイェテボリ出身で、日本人のインテリアデザイナーの父を持つ彼女は、若くして北欧を代表する歌姫として絶大な評価と人気を誇る、半分は日本人だがこの声を聴くと和の色は全く感じられない。

キャリアとしては、世界中で北欧ジャズ・ブームを創ったバンド、KOOPにヴォーカリストとして参加。「Summer Sun」での彼女のヴォーカルは、KOOPの世界的ブレイクのきっかけとなり、また彼女自身、北欧を代表するヴォーカリストとして認知されていった。
そして2003年、ホセ・ゴンザレス・バンドのErik Bodin、Hakan Wirenstrand、Frerick Wallinといった古くからの友人達と共にソロ・プロジェクトリトル・ドラゴンを始動。現在はその作曲者、ヴォーカリストとして、多くのリスナーを魅了している。

かつて、日本人ジャズアーティストたちはこぞってニューヨークへと向かった、そこで認められれば本物だという証をもらうために。いまもニューヨークで活躍する日本人もいるが、北欧という地から奏でられる音はアメリカの喧噪とはかけ離れた音であり、森のささやきが耳元から聴こえてくるようなメロディだ。

 

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