食のグローバリゼーション 27

保存の利く4つの素材でできる簡単レシピのパスタ

~ イタリア料理 アリオ・オーリオ・ペペロンチーノ ~

旬の野菜や肉類、魚介類を味わうのは食の最高の楽しみだ。その場合、味の決め手となるのは食材の鮮度だ。全く同じ方法で料理しても、素材の新鮮さによって全く味が違ってくる。毎日、とれたての食材を調達できれば、家庭の食卓はとても豊かなものとなるだろう。でも、都市部で暮らす人々にとっては、毎日フレッシュな食材を集めるのには相当な労力が必要となる。現代社会では、冷蔵庫が食材の鮮度を保ってはくれるものの、それには限界がある。素材の鮮度が命となる料理と、保存のきく食材を使った料理をうまくとり混ぜながら毎日の献立を考える必要がある。

イタリアの主食とも言えるパスタは、保存食の筆頭格と言えるだろう。乾燥されたパスタは長期の保存が可能で、素材がもつ本来の味が長く保たれる。一言でパスタと言っても、スパゲッティ、フェデリーニ、リングイネ、ペンネ、ラザニアなど、数え切れない種類のパスタがある。このパスタに新鮮な食材を使って作ったソースを絡ませると、毎日の食卓が彩られる。でも、忙しくて買物にも行けなかった日には、パスタに幾つかの保存の利く食材を使って料理すれば、一日の食卓が救われる。

自宅にまともな食材がない絶望的な状況であっても作ることができるアリオ・オーリオ・ペペロンチーノは、「絶望のパスタ」の異名をもっている。アリオはニンニク、オーリオは油、ペペロンチーノはチリペッパーを意味する。つまり、ニンニク、オリーブオイル、トウガラシにメインのパスタが加わると、材料のオールスタッフが揃う。ニンニク、オリーブオイル、トウガラシ、パスタの4つの食材は、どれも保存がきく上に、イタリアだけではなく日本の一般家庭で常備されているものだ。

材料がないからと言って絶望する必要はなく、いつでもイタリアの代表的な料理を作ることができるわけだ。オリーブオイルをひいたフライパンに、ニンニク、トウガラシを加え、弱火でじっくりと加熱し、香りと辛みのエキスをオイルに染み込ませ、茹でたパスタを和える。素材がシンプルであるばかりでなく、レシピもいたって簡単だ。

食材、調理方法がシンプルだからと言って、全ての人が同じような味を出せるわけではない。シンプルであるがゆえに、素材の選別から、オリーブオイルの香りづけ、パスタの茹で方に、ごまかしが利かない。パスタを厳選しアルデンテに茹で上げること、オリーブオイルを見極める技量が、ダイレクトに料理の味を決めるのだ。

であれば、プロの力量を味わおうと思ってイタリアのレストランに行ってはみても、ペペロンチーノの文字がメニューに並んでいることは極めてまれだ。外食をするときには、家庭ではできないような手のこんだメニューが好まれるからだろう。本場のペペロンチーノを味わいたいなら、イタリアの家庭に潜入しなければならないようだ。

日本のイタリアン・レストランでは、必ずと言って言い程、ペペロンチーノの文字がメニューの中に並んでいるが、元祖のアリオ・オーリオ・ペペロンチーノをメニューとしているレストランは意外と少ない。ペペロンチーノの味を基本として、季節の野菜や旬の魚介類を少し加えたメニューとしているケースが多い。

どうやら、オリジナルのアリオ・オーリオ・ペペロンチーノは、自宅で味わうのが手っ取り早いようだ。自分好みのパスタとオリーブオイルを見極め、たまには自宅の食卓をイタリアの家庭のようにしてみるのも悪くないだろう。レストランのシェフになった気持ちで、我が家の味を極めてみたいものだ。

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