物語.71

中川さんのお店に行くため、この日は17時に終了。

派遣で来てもらった女性にラストまでを任せ、一旦自宅へ帰宅した。勇一も行くと行っていたので、今日自宅で待っている。

「腹減ったな…でもさ。今日、大丈夫かな」

「どうかなぁ…。もう、ここまで来たら惣菜のレンチンだけの方が安心しちゃうかも」

「まぁね。おかしいけどな」

中川さんのお店は少し駅から離れているため、駅からタクシーで行くことにしている。ちょっと立地なども売り上げに関係してくるような気もするが…まぁ、仕方ないところだろう。

駅には由香と梶原君が待っていた。

「ちょっと…沙織。今日暑くない?」

「俺、半袖で来ましたよ」

今日は最高気温25度、季節外れの気温の上昇に、夕方の気温も20度を超えている。とはいえ、その暖かさで駅前には人が溢れており、週末の夜を思いっきり楽しもうという雰囲気で満ちあふれていた。

「ていうかさ由香。食べログ見た?」

「え?ていうか載っているの?」

「結構ヤバかったよ。得点、超低かったし」

「2.5とかですか?」

「ううん。1点台…」

「そ、そんなことあるんすか?」

やはり食べログファンとしては、1点台という状況は只ならぬ不安を植え付ける。とにかく、今更避けるわけにはいかない。思いきって行くしかないのだ。

駅前で適当にタクシーを止め、中川さんのお店の住所を伝えた。タクシーの運転手曰く、どうやら中川さんのお店の地域は、地元の方だけなく外からの方が移り住んで来ることが多いらしい。

そのため、案外個人営業の飲食店も少なくなく、ある意味激戦区となっているのだそうだ。

「じゃぁ、運転手さんもよく行くんですか?」

「そうだね…。まぁ、タクシーでの送迎しかないけどね。そのトラットリア…なんちゃらってところはあまり知らないねぇ」

送迎が無いということは、本当に繁盛していないのだろうか。我々だけでなく、何となくタクシーの運転手の方も不安な気持ちにさせながら、中川さんのお店に到着した。

外観は全く普通のレストランという感じの雰囲気で悪くはない。むしろ、ワイングラスなどをセンスよく置き、木材のエクステリアもいい感じだ。この外観に騙されてしまっているだろうか…。

とにかく、恐る恐るドアを開き最高の夜を期待しながら案内を待った。

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