食のグローバリゼーション 37

銘柄の味と香りを最高に演出する専用グラスで味わうエールビール

~ ベルギー ビール 2 ~

ベルギーは、500を超える醸造所で1000種類以上のビールが製造される世界屈指のビール大国だ。ベルギーの人々は好み、気温、気候に合わせて無数の選択肢から最適な銘柄を選んで、ビールの味を楽しむ。上面発酵のエールビールは、ハーブや香辛料、果汁を組合せ、数限りない味わいを人々に提供している。ビールという一括りの飲料が、人々の生活を豊かにしているのだ。

市街地に点在するビア・カフェのカウンターには数えきれない種類の銘柄のビールが並ぶ。カウンターに並ぶのはビールのボトルだけではなく、グラスの種類も半端な数ではない。ベルギーでは、ビールの銘柄ごとにグラスを変えて味わうのだ。日本の居酒屋でよく耳にする「とりあえずビール」というオーダーの仕方はありえない。銘柄を指定しなければオーダーしたことにならない。

先ずはトラピスト・ビールから飲み始めてみよう。シメイは、スクールモン修道院醸造所で製造されているビールだ。中世時代に修道院で始められたベルギーのビール醸造の歴史を今に継承している。世界に171のトラピスト修道院があるが、その内の7ケ所でビール醸造が行われている。この内1ケ所がオランダにあるのだが、6ケ所はベルギーに存在する。

シメイ・ブルーを専用のグラスに注ぐと、豊かな泡立ちがビールの上部に広がり、泡持ちも長く、焙煎風味を含んだキャラメリックな香りを守ってくれる。濃厚なボディーにハーブとフルーティーな味わいや香りが絶妙のバランスをもち、プレステージ性の高いビールだ。シメイ・ブルー、シメイ・ルージュ、シメイ・トリプルなどは、一般のビア・カフェで手軽に味わえるビールだが、シメイ・ドレーは修道院内か近郊のカフェでしかお目にかかれないビールだ。近年までは空瓶を持出すことすら許されなかった幻のビールだ。

シメイの他に、アヘルがアヘルセ・クライス修道院、オルヴァルがノートルダム・ド・オルヴァル修道院、ロシュフォールがノートルダム・ド・サンレミ修道院、ヴェストマーレが聖心ノートルダム修道院、ヴェストフレーテレンがシント・シクステュス修道院で醸造されている。

1杯目のシメイを飲み欲し、2杯目にデュヴェルをオーダーする。空のボトルとグラスが下げられ、デュヴェルの銘柄が書かれたボトルとグラスが登場する。銘柄がプリントされたグラスは、その銘柄を最高の状態で味わうための工夫がなされているのだ。

芳醇で重い味わいをもったトラピスト・ビールには聖杯型、喉越しを楽しむには細長いタンブラー型、芳醇な香りをもつ銘柄にはワイングラスやブランデーグラスのような広口のチューリップ型、さらにランビック・ビールには複雑なブーケと繊細な泡が楽しめるシャンパングラスのようなフルート型を使うのが一般的だ。

デュヴェル・モルトガット醸造所で製造されたゴールデン・エール・ビールのデュヴェルは、チューリップ型のグラスに注がれる。液面に浮かぶきめ細かい泡が、酵母の香りを封じ込めてくれる。比較的苦味の強い味わいをもつ中に、仄かな甘さを秘め、いかにもベルギービールといった味わいだ。「世界一魔性を秘めたビール」というキャッチフレーズをもっている。

味わいも香りも全く異なる2種類の銘柄に触れると、ビア・カフェの椅子に座りながらビールの味の旅が加速されてしまう。3種類目はヒューガルデン、4種類目はブルッヘだ。いずれもベルジャン・エール・ビールだ。ヒューガルデンのキレ味、ブルッヘのリンゴのようなフルーティーなトーンが、さらなる旅路へと誘う。

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