食のグローバリゼーション 38

テーブルに準備されたトッピング材で自分の好みの味に仕上げて味わうライスヌードル

~ ヴェトナム料理 フォー・ガー ~

日本人の主食は米だ。水を加えて温めるだけの簡単レシピで、ふっくらと炊きあがったご飯は、日本人の食生活にはなくてはならないものだ。どのような料理とも合い、メインディッシュの味を引き立ててくれる。ゆっくりと食事を楽しむ夕食には、炊き立てのご飯は欠かせないものだが、時間がなくて軽く済ませる昼食には、麺類を選択することも多い。

街中のグルメ街を歩けば、どこにでも麺類の飲食店の看板を見かける。昔ながらのそば、うどんの他、中華麺は今や本国の中国以上に普及しているのではないかと思える、イタリアンのパスタや、素麺、冷麦、きしめんなども加えると、日本は世界でも有数の麺食文化をもっていると言っても過言ではない。一日の食事の中に必ず麺類を取り入れている人も数多くいることだろう。

日本で愛好される麺の素材に目を向けてみると、そば粉を用いたそば以外は小麦粉を使用している。最近では米の食にこだわる飲食店も登場しており、米を使った麺やパンをメニューにしているところもあるが、米の麺が普及しているとはとても言い難い。

日本と同様にアジア地域の国々では、米飯が主食とされている。炊いたご飯に加えて、麺類にも米を用いているのを頻繁に見かける。中国のビーフンや河粉、タイのクイティアオ、カンボジアのクイティウ、ヴェトナムのフォーやブンなどは、その代表例としてあげることができる。日本より暖かく水にも恵まれ、一年に複数回米を収穫することができるため、有り余る米の利用範囲が広がったと考えてよさそうだ。

中でもフォーは、ヴェトナムのソウル・フードのような地位を築いている。高級レストランから専門店、街角の屋台にいたるまで、フォーをメインとするメニューを並べている。ヴェトナムでは、朝食、昼食、夕食の3食の全ての場面で食べられ、極めて深く生活に浸透した国民食だ。

フォーの形は日本のきしめんに近く、平打ちの米粉麺だ。水に漬けた米を挽いてペースト状とした後、温めた金属板の上に薄く広げ、固まった生地を裁断して麺の形にする。日本の麺類で重要視される腰はないが、柔らかな食感をもち食べやすい。

このフォーの味を引き立てるのが、鶏ガラや牛骨をベースとして出汁を取った透明なあっさりしたスープだ。薄い白色の麺と透明のスープの色のバランスは、一年中暑い地域の食卓に清涼感を与えているように感じられる。

具材のメインとしてスープの中に入れられるもので、最も一般的なのが鶏肉だ。フォー・ガーの料理名で、ヴェトナムに行けばどこででも味わえる。フォー・ガーに次いで親しまれているのが、牛肉を用いたフォー・ボーだ。フォー・ボーの中には、ミディアムレアの牛肉を使ったフォー・ボー・タイをはじめ、火にかけた牛肉を使うフォー・ボー・チン、ニンニクとともに炒めた牛肉を使うフォー・タイ・ランなどの種類がある。さらに、肉団子やシーフードを具材とするメニューも登場しており、フォーのメニューのバラエティーは豊富だ。

メインの具材の他に、ネギ、生のモヤシ、コリアンダー、ニラなどが味と香りに変化をつけている。食卓に出されたフォーに、ライムの絞り汁や、チリソース、ニョクマム、唐辛子、ニンニクをつけ込んだ酢などを各々の人の好みに従ってトッピングする。店のテーブルには必ず様々な種類のトッピング材が準備されており、自分で味の仕上げをしてから食べるのだ。他の人では作りえないアーティスティックな味を創造することができれば、ヴェトナム通となれることだろう。

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