食のグローバリゼーション 42

ヒン、サラダ、アイエーのオンパレードから完成する自分好みのフルコース

~ ミャンマー料理 ヤンゴン ランチ・バイキング ~

旅行や出張などでホテルに宿泊したときの朝食は、バイキング形式が相場となっている。国内のホテルであれば、和食コーナーと洋食コーナーに分けて、数種類の料理が用意されているのが一般的だ。自分の好みでテーブルに並ぶ料理を選ぶことができる。バイキング形式はホテルばかりでなく、街のレストランにも拡大している。

ミャンマーの首都ヤンゴンの市街地で、ランチタイムに人気のレストランに入った。そこでは、バイキング形式が採用されていた。ミャンマー料理に対する予備知識がない者にとっては、有難いシステムと言うことができる。読めない文字で書かれたメニューの中から食べたい料理を選ぶことはほとんど不可能だ。どのようなものかわからない料理を当てずっぽうにオーダーすると、好みに合わない料理が出てこないかと心配だ。バイキング形式だと、実際の料理を眺めながら選ぶわけだから、失敗することはまずありえない。

ところが、テーブルに様々な種類の料理がずらりと並んでいると、どれもこれも食べたくなって結構悩んでしまうものだ。ホテルの朝食バイキングであれば、料理の種類は限られているが、長さ5メートル、幅1メートルはあろうかというテーブルに、初めて見る料理が並んでいると、テーブルの周りを何度も回転してしまう。バイキング形式の場合は、時間制限があるため料理選びばかりに時間を費やすのは賢くない。悩んでばかりいても仕方がないので、結局は直観だけをたよりに選ぶことになる。

日本のカレーに近い煮込み料理のヒンだけを見ても、よりどりみどりの種類が並んでいる。ヒンはメインの具材によって大きく味が変わる。アメーダーヒンは牛肉、ウェターヒンは豚肉、チェターヒンは鶏肉、セイッターヒンは羊肉、ガーヒンは魚をメインの具材としている。日本では他の肉に比べて食材とする機会が少ない羊肉のセイッターヒンが、ミャンマーでは人気のメニューとなっているようだ。ヒンにはメインの具材に加えて、煮込み方にも2つの種類に大別される。水気の多いシーレー・イェーレーと、水気がほとんど残っていないシービャンだ。

タマネギやトマトとともに煮込んだヒンの中には、メインの食材の風味とエキスが溶け込む。どれもこれも美味しいものばかりだ。酸っぱくて辛い料理が特徴のタイや、スパイシー料理が豊富なインドと接しながら、ミャンマーのヒンはスパイスの量が控えめで、まろやかな味わいをもつ料理が多い。各々のヒンを主食のご飯にのせて食べる。

メイン料理のヒンが決まれば次に選ぶのはサラダ、和え物だ。熟す前のマンゴーを使ったサラダのタエテソーク、魚のすり身の揚げ物を用いた和え物のンガペソーク、揚げた鶏肉と野菜の和え物のチェッター・チョートッ、生野菜を魚醤とライムベースのタレにつけて味わうトサヤーなど、こちらもバラエティーがとても豊富だ。

そして最後にスープを選ぶ。ミャンマーではアイエーと呼ばれている。スープの出汁には淡水魚が使われることが多いのがアイエーの特徴だ。タマリンドなどの酸味が効いたチンイエーには豊富な具材が入れられる。ヒンジョーには深い味わいが、ヒンガーには胡椒が入ったピリ辛風味となっている。

各種の料理をバランスよく選んでお盆にのせて、席に運べばランチタイムがスタートする。数々の料理が並ぶ食卓は自宅では簡単に実現するものではないだろう。バイキング形式のランチと言って侮ってはいけない。知らず知らずの内に自分好みのフルコースが完成しているわけだ。

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