アドヴェント到来

いよいよ今年も残り少なくなった。

街に明かりを灯すイルミネーションも一段と光を放ち、クリスマスムードに拍車を掛ける勢いである。

新興住宅地に於いては、夕方ともなると庭先や窓枠などにたくさんの電飾を付け、我が家が一番とばかりに色取り取りのイルミネーションを飾り立てる風景が近年多くなった感じがする。

この奇異な風景はいつごろから始まったのだろう、田舎は別として都会はそれでなくても明るいと言うのに、住宅街だけ煌々と照らす電飾は浦安のディズニーランドのようだ。

夜の高速湾岸線を走るとディズニーランドだけぽっかりと明かりが浮かんでいるのが見える、アミューズメントパークへ誘う明かりは蛾を引きつける街灯に似ていて人間の欲望をかき立てるのだろう。

かつて日本人は、柱と梁で構成された吹き放しの空間に陰影の階調を愉しみ、宵夜を照らす月明かりの下で先人たちは恋を語らい、文を詠んだ。

闇の中に灯された仄かな光は美しく、時の移ろいを肌で感じ取っていた。


来週の日曜日からアドヴェントが始まる、西ヨーロッパから始まったとされるイエスの降臨を待ち望む期間のことである。

12月25日のクリスマスに向かう4週間をアドヴェントと言う。

日本人が正月を、特に子どもたちが楽しみにするのと同じように、ヨーロッパではクリスマスを迎えるためにアドヴェント・カレンダーがある。

そのカレンダーには1日〜24までの数字が窓になっていて、それを開けるとクリスマス関連のイラストやチョコレートなどが入っていたりする。

子どもが小さい頃、その窓を全て開けられてしまったことがあった。

カレンダーも色々とあり、チョコ入りは少しだけ根が張る、だから我が家はいつもイラストだけのものにしていた。

そのきっかけを作ってくれたのは知り合いのドイツ人からプレゼントされたものだった。

第一子が生まれたのが12月24日、嘘のような話だがその日に生まれたのである。

10歳になるくらいまで、アドヴェントの季節になるとその友人から送ってきた、さすがに低学年の子どもとは言え智慧が付き、アドヴェント・カレンダーにはお菓子も入っていると誰かに聞いたらしい。

しかし我が家はただのイラストのみ、なだめすかすのに大分苦労したことを覚えている。

 

 

アドヴェント・カレンダーは19世紀に誕生したと言う、カレンダーは子どもだけ楽しむのではなく、大人の女性にも人気だという。

日めくりすると、香水や有名店菓子などが入っていたりする、もちろんカレンダーには入らないので代わりに引換券を入れておくのだそうだ。

キリスト教者は儀式を重んじ、クリスマスを迎えるわけだが、日本に於いてはイエスのために祝うと言うのではなく、お祭りのようなある種のセレモニーになってしまった。

楽しみ方は色々あって良い、日本人はどうやら祭り事が好きな民族なのかも知れない、民族間の争い事はまずいが祝うことに国境は無い、クリスマスそして正月、なんとも不思議な国である。

教会ではアドヴェント第1日曜日に、もみの木などの常緑樹で作ったリースに4本のろうそくの1本に灯火が燈されるクランツという行事が始まる。

12月のパティスリーに並ぶケーキは、ブッシュ・ド・ノエルやプラム・プディングで埋め尽くされる、世の中いろいろ不穏な音が喧しく聞こえてくるが、甘い”音”なら大歓迎だ。

 

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