コンセプチュアルアートが個人的に好きです。
このアートの持つ何か不思議な魅力というか、何ともいえないスタイリッシュさが、見ているだけで気分を洗練させるような気がするからです。
さて、そんな個人的な意見はともかくなのですが、ちょっと久しぶりに注目したいアーティストの個展が神田の「TARO NASU」で開かれています。
今回、会場にやってくるのが、イギリスの現代美術を代表するコンセプチュアル・アーティスト「リアム・ギリック」です。
社会組織への考察を交えながら、コンセプチュアルな世界感に影響を受けた様々なインスタレーションで話題となったアーティストです。
この方のユニークな部分として、アーティストソロというだけでは無く、建築家、デザイナー、ライターなど様々な分野の人間とコラボレーションし、新しい世界観を生み出し続けているのです。
ちなみに、美術界への教育も行っており、「unitednationsplaza」という企画でも中心的な存在として、そのプロジェクトを成功に導いてきたのです。
ここ最近なのですが、彼の活動は非常に盛んで注目されています。
ヴィネツィアビエンナーレのドイツ館代表や、欧米の4つの美術館を巡る回顧展なども手掛け、世界を股にかけるというような活躍を続けているのです。
今回、TARO NASUでの個展なのですが、実は2011年に『Humid but cool I think』をグループ展として出品しており、2012年には初の個展である「Agreements, McNamara and Lead Times」も行っており、深いつながりがこのギャラリーにはあるようです。
とにかく、シンプルでありながらその奥深くに眠る強い意志。
ミニマリズムを追求した展示作品には、どこか愛らしさを感じさせるような遊び心などもあり、1度見るとその世界観に一気に引きずりこまれてしまう、そんな感覚を覚えます。
アート作品として、プロダクト製品のプロダクトタイプの中間的な存在を生み出すリアム・ギリックのインスタレーション。
どこか、突き放された部分も持ち合わせていながら、コンセプチュアルアートの持つ、大きな政治的意味が上手く融合されています。
もし、時間がある方でしたら、12月27日まで開催されているようなので、足を運んでみるのも良いかもしれませんね。
ちなみに、今展示会のタイトルは「Vertical Disintegration」。
グラデーションが生み出す、歪みから発信される彼のメッセージを受け取ってみましょう。