食のグローバリゼーション 52

動物と人間が共存する島で分け合う食材

~ エクアドル ガラパゴス/サンタ・クルズ島 プエルト・アヨラ魚市場 ~

 

人間を含めた動物は食事をとらなければ、生命を維持することはできない。

分業化の進んだ現代の人間社会では、一人一人が食材を得るために狩りに出たり、田畑を耕したりすることはほとんどない。

漁業を営む人、農業を営む人はいるが、それだけで全ての食料を自給自足している家庭はごくまれだ。

都市に暮らす人々の大半は全ての食材を商店で購入し、台所で調理することによって一日三食の食生活を成り立たせている。

食材の調達場所として最も一般的なものがスーパーマーケットだ。

鉄道の駅の付近や交通の便のよいところには必ず、スーパーマーケットが店舗を構え、付近に暮らす人々の台所を支えている。

住まいを選ぶ際には、近くにスーパーマーケットがあるかどうかということが、重要な条件になることもある。

人間であれば商店に足を運べば、何の不自由もなく簡単に欲しい食材を手にすることができる。

ところが、自然に生きる動物たちは、毎日食料を得るために、あちこちを移動する。

羽根を使って遠くまで飛ぶことができる鳥たちは、エサを嘴に加えて何十キロも移動することもある。

動物たちにとっては、食料を探す行為は命がけとなることすらある。

でも、自分が食べる食料は全て自らの力で獲得しなければならないのだ。

 

太平洋の赤道直下に浮かぶ島々のガラパゴス諸島は、自然の動物の宝庫だと言われる。

諸島内のほとんどの島々は無人島ではあるが、サンタ・クルズ島や、サン・クリストバル島、フロレアーナ島、イサベラ島などの幾つかの島には、数多くの人々が暮らしている。

最も人口の多いサンタ・クルズ島のプエルト・アヨラ市には1万人を超える人々が、日常の生活を営む。

島の中心となるプエルト・アヨラ港の付近は道路も整備され、南アメリカ大陸から約900キロも離れた島とは思えないような街並みが作られている。

メイン・ストリートのダーウィン通り沿いには、食材から日用品が揃うスーパーマーケットも設置されている。

島に暮らす人々の台所を満たすには、米やパン、野菜、肉類が必要だが、四方を海に囲まれた島の食材としては、海の幸が気になるものだ。

自然保護区の中では、漁業を営むにも様々な制約があるようだが、食生活を豊かにするには身近な魚貝類は欠かせないものだろう。

 

ガラパゴスは赤道間近にありながらも、周囲の海域には寒流のフンボルト海流が流れている。

海流にはプランクトンが豊富に生息し、流域は絶好の漁場となっている。

 

 

プエルト・アヨラ港には毎日、魚市場が開かれる。

市場には日本では見かけない珍しい魚が豊富に並ぶ。

どれもこれも水揚げされたばかりの新鮮な海の幸だ。

島に暮らす人々は、手軽に新鮮な海の幸を手に入れることができるのだ。

ところが、港近くの魚市場で食材を獲得するのは、人間だけではなさそうだ。

市場の傍らには、アシカやペリカンの姿が絶えない。

新鮮な魚類は、アシカやペリカンにとっても御馳走となるのだろう。

魚を捌く人の横で、大人しく待っている。

時折ホースで水をかけて追い払う場面も見かけるのだが、ホースを置いた瞬間には元の位置に戻り、魚をねだり続ける。

野生の動物は自分で獲物を捕えなければならないはずだが、労力を使うことなく楽に食材を得たいと思うのだろうか。

人間も動物も考えることは同じなのかもしれない。

市場の人にとって魚介類は商品なのだが、動物からお金を取るわけにはいかない。

経済的なことを考えると困りものではあるが、ガラパゴスでは人間と動物は共存関係にあることは間違いなさそうだ。

 

関連記事

アーカイブ

ページ上部へ戻る