ガラパゴスのアニマル・アート/ネイチャー・アート 5

島固有の環境に適合するように進化して誕生した亜種

~ ガラパゴス サンタ・クルス島 ゾウガメ 2 ~

東太平洋上の赤道直下に位置するガラパゴス諸島は、独特の生態系をもっている。

ガラパゴスの名前はゾウガメの甲羅に由来し、ゾウガメはガラパゴスの生態系を象徴する動物だ。

 

写真(ガラパゴス05-2)

 

かつての島々はゾウガメの楽園と言われていた。

草食動物でありながら、島内には天敵がほとんどいないため、陸上生態系の最上位の位置にある。

食物連鎖の頂点にいれば、安定して種が維持されるはずだ。

ところが、かつては15種の亜種が生息していたが、その内5種は絶滅してしまった。

島内で暮らす動物の中にゾウガメを襲うものはいないのだが、島外からガラパゴスに訪れた人間が、ゾウガメに脅威の存在となってしまった。

 

15世紀までは無人島であった島々に、16世紀になると海賊船、18世紀以降には捕鯨船が訪れるようになった。

 

長い航海のための食料の補給基地として利用されたのだ。

ゾウガメは飲まず食わずでも数か月生き延びることができる生命力の強い動物だ。

これがゾウガメにとって、とてつもない受難を呼び込んでしまった。

自然の生活環境から引き離されながら船の上で生き続けるゾウガメは、船の乗組員に新鮮な肉を提供したわけだ。

船員たちは、一度に数百頭に及ぶゾウガメを捕獲したという。

記録に残っているだけでも4万頭のゾウガメが船に積み込まれたのだ。

記録に残っていない頭数を推定すると、乱獲胃されたゾウガメは約20万頭にも及ぶと言われる。

1974年の調査では、僅か3000頭にまで減少してしまっていた。

 

絶滅の危機に瀕していたゾウガメにとって救世主となったのが、1959年にサンタ・クルス島のプエルト・アヨラに設立されたチャールズ・ダーウィン研究所だ。

 

ダーウィンの代表作『種の起源』が出版されてから丁度100年後のことだ。

研究所ではゾウガメの研究の他に保護育成の活動を精力的に行っている。

その成果もあって、徐々に個体数を増やし現在では約15000頭のゾウガメが諸島全体に暮らしている。

人間さえ危害を加えなければ、ガラパゴスはゾウガメにとってのパラダイスなのだ。

 

各々の島に生息するゾウガメは、島ごとに亜種に分化した。各島の生活環境に適応するように進化したわけだ。海を隔てて各島が隔離されていたために、亜種の特徴が維持された。甲羅にはその特徴が最も顕著に表れている。

下草が比較的豊富なサンタ・クルス島や、イサベラ島では、甲羅は半円状の「ドーム型」になる。

これに対し、地面に生える草が乏しく高所の多年草の木の葉や枝を餌としなければならない島に暮らすゾウガメの甲羅は「鞍型」になる。

サン・クリストバル島、エスパニョラ島、ピンソン島、ピンタ島などに生きるゾウガメは、首を長く伸ばさなければ食事にありつけないわけだ。

生活する環境によって形を変える甲羅ではあるが、骨甲板を角質甲板が覆う頑丈な基本的な構造は全てのゾウガメに共通する。

甲羅の表面には木の年輪に似た刻み目があり、年齢を知る手がかりになるといわれている。

甲羅からは太くてがっしりしたゾウのような4本の足を出し入れする。

鱗状のもので覆われた足からは恐竜が連想される。

体長150センチ、体重250キロにもなる体を移動させるには、丈夫な足が不可欠だろう。

ノシノシとゆっくり歩く姿は、堂々としており貫録を感じることができる。

ゾウガメの寿命はとても長く150年を超える。

長寿のゾウガメは200歳に迫るようだ。

人間が余計な手さえ加えなければ、長寿の特性が島々をゾウガメのパラダイスとして蘇らせることになるだろう。

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