食のグローバリゼーション 57

職場の同僚たちと車座になって。楽しい会話をしながら味わう昼食

~ ラオス ヴィエンチャン ランチ風景 ~

都心の事務所が密集するエリア内の飲食店街のランチタイムはとても慌しい。

日本の会社の昼休みは、ほとんど1時間と決まっている。

短い時間の間に昼食を済まさなければならない。

通りは慌しく右に行く人、左に向かう人でごった返し、交通整理の警官の登場が望まれそうだ。

目的の飲食店にまっしぐらに向かっても、満席で入れないことは珍しくはない。

空席が無ければ、回れ右をして急いで次の店に向かう。

何とか空席のある店を見つければ、席に着いた途端に料理をオーダーする。

メニューを眺ながら料理を決める時間などない。

 

多くの飲食店はランチタイム・メニューを設け、効率的に料理ができるようにしている。

 

料理がテーブルに届けば、一気にお腹の中にかきこむ。

日本のサラリーマンには、ゆっくりとランチタイムを楽しんでいる余裕などありない。

午後の仕事に備えて、胃袋を満たしておくだけの作業だ。

朝食だって簡単に済ませる人が多いので一日三食の中で、日本人が落ち着いて食事をするのは夕食のみだ。

 

食習慣は世界各国で大きく異なる。

 

ゲルマン系の人々はしっかりとした朝食をとり夕食は軽く済ませる。

ラテン系の人々は、ゆっくりと昼食をとる。

アジア諸国でも各国特有の食文化が存在することだろう。

 

ラオスのヴィエンチャンは、アジア諸国を滔々と流れるメコン川に面している。

タイの国境の町ノンカイとは、メコンに架かるタイ・ラオス友好橋で結ばれている。

橋の袂には川を超えて、陸路で国境を行き交う人々で賑わう。

出入国管理事務所の近くには、近代的なショッピングセンターが建っている。

メコン川を超える前に、様々なラオスの土産を買い求めることができるわけだ。

ラオスの珍しい特産品が並ぶ商品棚を眺めながら歩いていたときに、店のフロアで食事をしている人を見かけたことがある。

そのときは丁度、ランチタイムだったのだ。

 

床の上にシートを敷き、その上に料理を盛った皿を並べ輪になって座っている。

 

学校の運動会や野外キャンプのような様子だ。

日本であれば店のフロアに陣取って食事をする店員など見かけることはない。

店員は客の目に入らないところで食事をとるに決まっている。

でも、店員が食事をする光景は、客に見せてはいけないものなのだろうか。

誰だって昼食をとるのだから、店の隅で食事をとることは、不道徳なことでも、みっともないことでもないだろう。

 

シートの上に広げられた料理は、きっと各々の人が自宅で作った料理を持ち込んだものだろう。

米に加えて、スープ、煮物、炒め物がバランスよく並んでいる。

 

グループで前日にでも、分担を決めたのだろうか。

1人で何種類もの料理を作るのは面倒だ。

各々が1品ずつ持ち寄れば数種類の料理が並ぶ。

昼食としては充分というより、充実のレシピだ。

各々の家庭料理の自慢話でもすれば、きっと会話は弾むことだろう。

料理の得意な人から詳しいレシピを聞けば、料理の腕を上げることになるだろう。

和やかなムードは、初めて会う人でも招き入れてくれそうだ。

箸とか、フォーク、ナイフなど、なくても大丈夫だ。

ラオスの人々は手で料理を口に運んで食事をとる。

日本ではつまみ食いは行儀が悪いとされるが、ラオスでは手を使うのが標準なのだ。

食事の前に手を洗えば不潔ではない。

触覚と味覚で食事を2倍楽しむことができるわけだ。

社会には標準的な生活のリズムが漂うが、空腹を満たすためだけの慌しい昼食ではなく、同僚との会話を楽しみながらランチタイムを過ごすことができれば、きっと職場のムードも明るくなるだろう。

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