ガラパゴスのアニマル・アート/ネイチャー・アート 8

2種類の高度な採餌技術をマスターすれば親離れ

~ ガラパゴス ノース・セイモア島 グンカンドリ 2 ~

ガラパゴスの島々の海岸線近くのパロサントの林に、グンカンドリは巣を作り暮らしている。

グンカンドリの最大の特徴は、オス鳥が真赤な喉袋をメス鳥に見せて求愛行動をすることだ。

メス鳥が最も美しい喉袋をもったオス鳥を選ぶとカップルが成立する。

メス鳥は2年から3年に一度、一個の卵を産み落とす。

新しい生命の誕生の頻度はそれ程多くはなく、正真正銘の子宝だ。

 

大切な卵はオス鳥、メス鳥が約1週間交代で温め続ける。

孵化するまでには、オオグンカンドリ6週間アメリカグンカンドリ8週間の時間を要する。

卵を温め続けた親鳥は、この期間で2割も体重を落としてしまう。

卵から孵った直後の雛鳥は、真白で柔らかな羽毛で覆われている。

黒色で大きな羽根をもつ親鳥とは似ても似つかない姿だ。

親子を取り違えているのではないかとも思える程の違いだが、雛鳥の傍らにはいつも親鳥が寄り添い続ける。

大切な雛鳥がノスリやフクロウなどに襲われないように、オス鳥、メス鳥が約1週間交代で四六時中雛鳥を見守る。

 

写真(ガラパゴス08-2)

 

雛鳥は飛べるようになるまでに5ケ月以上かかり、巣や近くの枝などでじっとしているのだ。

飛ぶことも歩くこともままならない雛鳥に食事を運ぶのは親鳥の役目だ。

1週間サイクルでオス鳥とメス鳥が見守りとエサ運びの役割を変え、2羽の連携プレーで子育てをするのだ。

親鳥に暖かく見守れた雛鳥は、数か月で枝から飛び立つことができるようになる。

でも、自分ではエサを捉えることができない。

親鳥は約1年間、全てのエサを雛鳥に与え続ける。

生後1年の若鳥は自分でエサを捉え始めるが、採餌技術を完全にマスターするにはさらに約5年の歳月を要する。

親離れできるまで親鳥は、与えるエサの量を徐々に減らしながらも若鳥にエサを運び続ける。

 

若鳥が採餌を習得するのに時間がかかるのは、グンカンドリが特殊な方法でエサを捉えることによるようだ。

通常グンカンドリは、海面すれすれの低空を飛びながら、海の表層を泳ぐ魚や飛び跳ねる魚を捕まえるのだ。

この採餌方法には、先端がカギ状に折れ曲がった長いクチバシが役に立つ。

先端のホックで、巧みに魚をひっかけるのだ。

ところが、グンカンドリの羽根には油分が少なく撥水性が乏しいため、水に浸かると水分を吸収して溺死することがある。

グンカンドリの採餌は、命の危険と隣り合わせなのだ。

グンカンドリは、この採餌方法の他に、もう一つ特徴的な技術をもっている。

何とカツオドリやペリカンなどが、海中へダイブして捕獲したエサを略奪するのだ。

グンカンドリの名前はこの略奪行為に由来する。他の種類の鳥が魚を飲み込んでいるかどうかを、その鳥の鳴き声で聞き分けるという特技をもっているのだ。

喉に魚を入れた鳥を見つけると執拗に追いかけまわす。

尾を引っ張ったり揺さぶったりして攻撃を加える。

グンカンドリにまとわりつかれた鳥は、ついには根負けして魚を喉から吐き出してしまう。

この魚をグンカンドリは空中で捉える。

カツオドリが集団で漁をしている際に、しばしば見られる光景だ。

グンカンドリは、軍艦鳥、海賊鳥、略奪鳥と呼ばれることもある。

身勝手な悪鳥の印象を与えかねないが、幸いにもメインの採餌方法は略奪ではなく自らの力による漁だ。

グンカンドリは2種類の高度な採餌技術をマスターすれば、親離れをして一人前の成鳥となる。

大きな羽根を羽ばたかせながら優雅に上空を飛ぶ。

オス鳥は真赤な喉袋を膨らませて求愛する。

そして次の世代を育て、ガラパゴスの島々で生息し続ける。

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