ガラパゴスのアニマル・アート/ネイチャー・アート 10

スカイポインティングで求愛の儀式を開始し、一緒に四股を踏み始めればカップル成立

~ ガラパゴス ノース・セイモア島 アオアシカツオドリ 2 ~

 

太平洋に浮かぶガラパゴス諸島の海に近い岩場に、真青な足をもつアオアシカツオドリがコロニーを作って営巣する。

溶岩がごろごろする無味乾燥とした光景に、ガラパゴス固有の亜種の海鳥が、絵画的な鮮やかな彩りを添える。

体の下の端をおしゃれのポイントとするアオアシカツオドリは、諸島の生物群の中で道化師の役割を演じているかのようだ。

エサが豊富にあれば一年を通して繁殖が行われるが、オス鳥の求愛の思いは足の色にあらわれる。

足の青色が濃く鮮やかになるのだ。

足の色は健康のバロメーターであり、青さが増すほど免疫力が高く丈夫だということをメス鳥に知らせてくれる。

 

足元をドレスアップすると、オス鳥は果敢にメス鳥にアタックしていく。

その求愛行動は、極めてユニークで特徴的だ。

オス鳥はメス鳥に近寄り、先ずクチバシと尾羽を空の方に向け翼を大きく開く。

スカイポインティングと呼ばれる仕草が、プロポーズの最初の合図となり、繁殖の場所をメス鳥に知らせているのだ。

 

写真(ガラパゴス10-2)

 

人間の場合であれば人目を忍ぶこともしばしばあるのだが、アオアシカツオドリの場合は大胆で、人目ばかりか鳥目、その他の動物にも全く恥じらうことがない。

翼を広げた姿は人間の目には、勇猛果敢で男らしさが漲っているように見える。

ところが、アオアシカツオドリのメス鳥は、望みが高いのか、オス鳥を焦らせているのか、まるで関心を示さない。

それならば、と言いたいところで次にオス鳥が見せるアクションは、尾羽を垂直に立てたまま、相撲の力士が「四股」を踏むように足踏みをすることだ。

右足、左足を交互に、ゆっくりと上げたり下ろしたりする。

もともと陸上を歩くことを得意ではないアオアシカツオドリの足踏みは、子どものよちよち歩きのようで覚束ない。

このステップにさらに、クチバシを垂直に立てたり下ろしたりの動作が加わる。

メス鳥がつられて同じような仕草をするまで、オス鳥は何度も同じ動作を繰り返す。

そして、メス鳥がオス鳥のテンポに合わせてステップを踏み始めると、めでたくペアが成立したこととなる。

二羽のアオアシカツオドリは、体を寄せ合いクチバシを絡み合わせる。

求愛行動から恋愛成就まで、長々とぎこちない動作が続くが、微笑ましい光景であることに間違いない。

 

一連のユーモラスな行動の中には、アオアシカツオドリの胸の中でうごめくドラマが展開しているのだ。

 

恋愛のダンスが終われば、巣作りといきたいところなのだが、アオアシカツオドリは巣作りも苦手ときている。

ほんの少しの小枝や小石を巣の場所に置く程度だ。

メス鳥は1回の繁殖で、1個から3個の卵を産み落とす。

卵は腹でなく、水かきがある足の裏で暖める。

大切な卵を踏みつけているようだが、足の裏には卵に体温が効率よく伝わるように、たくさんの血管が通っているのだ。

約6週間の抱卵でヒナが孵る。

3個の卵は数日間隔で産み落とされるため、この間隔で一羽ずつ殻を破って出てくる。

食料が豊富であれば産まれたヒナ鳥は全て育つが、エサが乏しいときは最初に産まれたヒナ鳥だけが成鳥することになる。

たとえ数日間でも早く産まれたヒナ鳥は、他の鳥に比べて体がひとまわり大きく、親鳥は体の大きなヒナ鳥に優先的にエサを与えるのだ。

3羽に平等にエサを与えて共倒れになってしまっては大変だから、1羽だけでも丈夫に育てたいという思いが働くのだろう。

自然の環境の中で、種族を維持保存するために厳しい「生存の掟」が存在するのだ。

 

 

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