「抽象画とコンセプチュアルアートの境界線」

抽象画とコンセプチュアルアートというものは、どこか似たりよったりの関係性にあるのではないか…。

そんな感覚を思わせるアート表現です。

コンセプチュアルなアートというのは、どこか無機質であり、その作品自体には意味は無いものの、込められた想いなどで配されるものですので、どこか形があるようで無い、といった風景を生み出します。

逆に抽象画というものは、それこそ様々なモチーフや色彩などを使い、アーティストによって独特の世界観を作り出すアート表現となります。

そのためか、誰が見ても犬を描いているのでは?と、いう作品に始まり、ただキャンバスに幾十もの色彩を塗り付けただけの作品など、作者の細かい制作作品の意図が分からないと理解できないような、そんなアートも存在しているのです。

その二つをじっくり見比べてみると、人の手が加わっていないような無機質なイメージを出す方がコンセプチュアルアートで、人間らしさというか臭さが残る有機的なイメージを出す方が抽象画であることがハッキリするはずです。

しかし、その独特の世界観とシンプルでミニマム、といった世界観は共通しているのです。

機械的であるのか、はたまたそうでは無く、有機的であるのか。

この両方を持ち合わせているとしたら、これは新しいアートになるのではないだろうか、そんな事を考えていました。

勿論、そういったすき間的なアートを狙ったアーティストは数多くいるでしょうし、今現在でも数多くのアーティストが果敢に挑戦し続けていることでしょう。

しかし、ここで注意しなければいけないのが、どっちつかずになってしまう事です。

日本のことわざに二兎追うものは一兎も得ず、などというものがありますが、まさにそのような状況が起きてしまう可能性だってあるのです。

写実的な世界観を打ち出すアートではなく、抽象的なアートというのは、極端な話、美術の細かい知識や知識が無くても作り上げることは可能でしょう。

それぐらい、個人の感覚に委ねられるといっても過言ではありません。

しかし、だからこそ、思いが強く、さらに世間を見て取れる洞察力も飛び抜けたものでなければいけません。

そして、抽象的と言っているからこそ、適当なのではなく、高い写実力を持ち合わせているからこそ描ける世界観というものがあるのです。

 

では、そんな世界観を打ち出せるアーティストは誰かいるのでしょうか?実は、先日渋谷ヒカリエにある「8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery 」において開催されていた、ベンジャミン・バトラー展「Selected Trees」 Benjamin Butler “Selected Trees”が、その世界観そのものだったのです。

1975年アメリカ、カンザス州に生まれたベンジャミンバトラーは、現在はオーストリア、ウィーンが活動拠点だといいます。

木々や自然の風景を、具象・抽象のギリギリの境界線をなぞるように描き出しており、抽象画そしてコンセプチュアルアートの間の世界を完全に表現しきっています。

非常に単純な線と色彩の使い方でありながら、その描写力、そして力強さと奥深さ…。

全てが、ベンジャミン・バトラーという人間のオリジナリティを打ち出している秀逸な作品ばかりです。

 

解説などには、ピエト・モンドリアンに、アメリカ抽象表現主義フランク・ステラを思わせるとありましたが、完全にオリジナルの道を貫いています。

 

一度見ると忘れられない、そんな本当に独特な世界を築き上げるベンジャミン・バトラー。

抽象画のまだ見ぬ世界を、これからも我々に見せつけ続けてくれるのではないでしょうか。

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