アート好きという方の中には、様々な方がいるとは思うのですが、基本的にそのジャンルの好き嫌いも別れています。
写実的な作品に関していえば、好き嫌いというよりは、その素晴らしさに目を奪われる方が先であり、結果的にはその作品の認識の後に好き嫌いが生まれます。
アートでも絵画となるとその作品の持つ第一インパクトやジャンルなどで、様々な感情が動くというのが、条件にもなってくるのではないでしょうか。
さて、そんなアートなのですが、難しいのがエログロナンセンスというようなジャンルです。
ジャンルというような事で括ってしまって良いものなのか難しいところです。
どこか気持悪く、居心地も悪い、でもその感覚が心に訴えかけて目をそらすことができない。
そのような、独特の世界観を持っているジャンルと言えます。
しかし、あまりにもコア過ぎる作品に関していえば、もうアートというよりは、その作家の持つ変態的な感覚や思想、そしてアイデンティティが詰め込まれているだけ、万人に訴えかけて分かってもらえるようなものでは無くなっています。
当然、アートとして発動されているわけなので、理解できる方もいるとは思うのですが、丁度ギリギリのラインを走れない場合もあります。
なかなか、難しい部分もあるのですが、その変態的なバランスとアート性が掛け合わされた天才的なアーティストが徐々に注目されていっています。
そのアーティストが「榎本耕一」です。
榎本耕一の最大の魅力と言えば、その独特の色彩を敷き詰めたような、一種の具象画のテイストと女性でしょう。
目の覚めるような激しさを持ち合わせる世界の中は、まるで欲望のカオスかのように欲望が入り乱れていながら、絵画の中に女性を入れ込み、その女性を中心とすることで生まれるバランスが秀逸です。
さらに、一見何を描いているのか分からないほどのノイズ感を感じさせながらも、見入る内に引きずり込まれて行く美しさも特徴的と言えます。
どこかしら、爆発的芸術脳を思わせる斬新な作風には、今までになかったような、そんな生命力を感じさせる部分があります。
感情を思うがままに表現し続けるだけでなく、アートとして昇華させてしまうという才能に、将来性を強く感じざるえません。
また、彼の発する文章も魅力的であり、日本が持つサブカルチャーを一心に背負っているかのような語り口も堂々としていて惚れ惚れします。
大阪出身であり、金沢市立美術工芸大学を卒業。
そのあと、同大学院博士前期課程に進むことになるのですが、中退をして独自の道を歩み始めています。
現在は、京都に身を置き制作活動をしているのですが、展覧会なども積極的に行っており、先月には現代美術を取扱うことでも日本随一のTARO NASU美術館でも「21世紀旗手」と題してエキシビジョンを開催しました。
新作のペインティングも、その世界観にブレは無く、回を重ねるごとにより洗練されていっている印象すら受けます。
サブカルチャーという言葉で語ってしまうと軽過ぎるし、アートとしては重過ぎる。
その丁度良い世界観を描くことができるアーティスト「榎本耕一」。
今後、大注目の画家として話題にされていくことでしょう。