ガラパゴスのアニマル・アート/ネイチャー・アート 13

緩やかな曲線を描くプロポーションの全身がオシャレのポイント

~ ガラパゴス サウス・プラザ島 アカメカモメ 1 ~

四方を海で囲まれた日本では、古くから盛んに漁業が営まれてきた。

船で海洋に乗り出し海の中を泳ぐ魚類を捕える。

森林の中で行う狩猟であれば、獲物を視野に入れながらの猟となるが、海の上での漁では獲物を視界に捉えることはできない。

現代の船であれば魚群探知機の映像を頼りに漁を行うが、電子機器のなかった時代にはどのようにして魚の群れを探し当てたのだろうか。

漁師の経験や知恵の中に、カモメの群れを便りとする方法があるようだ。

 

カモメは魚群の上に集まる習性をもっている。

カモメも人間と同じように、生きていくために食事をしなければならない。

カモメの食料は海の中を泳ぐ魚類だ。

洋上からでも魚群を見つけ出さなければならない。

カモメの瞳に魚の群れが映し出されているのかは不明だが、カモメの群れの下には魚が群れを作っていることが多いようだ。

人間もカモメと競争しながら食料を捕えるということになる。

 

カモメは日本では、冬季の海岸線や、河口、港などでよく見ることができる。

何でも食べることから、「海辺の掃除屋」の異名をもっている。

ユリカモメ、ウミネコ、セグロカモメ、シロカモメ、ワシカモメ、ミツユビカモメなどが、日本でお馴染みの種類だ。

 

世界に視野を広げるとさらに多種類のカモメが生息しているが、ガラパゴス諸島には、固有種のヨウガンカモメとアカメカモメが暮らしている。

ヨウガンカモメは、文字通り溶岩の色と区別ができないような褐色の体色をしている。

これに対してアカメカモメは特徴的な彩りをもっている。

最も目を引くのが真赤なアイリングだ。

黒くて丸い瞳に鮮やかな彩りで輪郭線を作り、表情にアクセントをつける。

頭からすっぽりと目出しの覆面を被っているようにも見える。

大きく目を見開けば赤いリングは真ん丸に、目を閉じれば赤色のラインとなる。

眼の動きによって赤い輪郭線の形が微妙に変化する。

人間では「目は口ほどにものを言う」と言われ、感情の変化が目元に現れる。

アカメカモメもきっと、赤い輪郭線で胸の内を表現しているに違いない。

赤色はアイリングばかりでなく、足元にも見られる。

こちらの方は真赤ではなく、色調を少し和らげた淡いピンク色だ。

体の上部と下部の明るい色彩は、褐色の溶岩からくっきりと浮かび上がる。

人間顔負けのオシャレセンスだ。

明るい色彩に視線は引き寄せられるものだが、体の全体にわたってオシャレのセンスが漲っているように見える。

濃いグレイのクチバシの先に白色のワンポイントアクセント、薄いグレイの羽根の下の腹部は真白の羽毛で覆われ、羽根の先は黒色の燕尾だ。

各々の色彩が、バランスよく調和している。

アカメカモメが鏡に向かって化粧をするわけではない。

もって産まれた自然の体色が、ナチュラルアートを作っているのだ。

さらに、体形にもすっきりとした清潔感が満ち溢れている。

緩やかなカーブの曲線が、エレガントなプロポーションを作る。

数多くの人がアカメカモメを世界で最も美しいカモメとして紹介している。

ガラパゴスには天敵は存在せず、人間が近づいても逃げることはない。

2004年の調査では約3万と推定され、個体数は現在でも維持されていると考えられている。

アカメカモメは、ガラパゴスの東部の島々の海岸線に巣を作って暮らす。

カモメの中で唯一夜行性の習性をもち、日中は海岸線の岩の影で羽根を休めていることが多い。

ガラパゴスの固有種ではあるが、エクアドルやペルーの沿岸まで太平洋の洋上を飛翔することもあるという。

 

写真(ガラパゴス13-2)

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