ガラパゴスのアニマル・アート/ネイチャー・アート 15

一頭のオスが数十頭のメスと子どもと一緒に作るハーレム

~ ガラパゴス ノース・セイモア島 ガラパゴス・アシカ ~

日常生活において自然の動物と触れ合うことが難しくなった現代の日本では、動物に触れ合うためには動物園や水族館などの施設に行くしかない。

陸地に住む動物は動物園、水中や水辺に住む生物は水族館の檻や水槽の中で飼育されているところを見る。

全国各地に点在する水族館では、数多くの施設でイルカやアシカのショーを企画している。

イルカであれば現在の日本近海でも見ることができるが、アシカは既に日本近海から姿を消している。

20世紀の始めまでは、日本の海岸で数多くのニホン・イルカが生息していた。

このイルカを捕獲し皮、油を生活に使い、食用としても利用された。

韓国と領有権が争われている竹島の近海だけでも、1904年から1912年の8年間で14000頭にも及ぶイルカが殺されたという記録が残っている。

その結果、日本からアシカは絶滅したのだ。

 

現在の世界の海でアシカの姿が最もよく見られるのは、北アメリカ大陸の西海岸だ。

太平洋の海の中をカリフォルニア・アシカが泳ぎまわる。

泳ぎの上手いアシカは、大陸の沿岸ばかりではなく、太平洋を遠泳してガラパゴス諸島にまで辿り着いた。

ガラパゴスに移り住んだ年代は不明確ではあるが、ガラパゴスで暮らし始めたアシカは、カリフォルニアのアシカよりもひとまわり小さくなったと言われている。

それでも成長したオスの体重は250キロにもなる。

現在では5万頭を数えるガラパゴス・アシカが島々で暮らしている。

ノース・セイモア島の海岸線には、絶え間なく数メートルの波がしぶきをあげる。

岩場に打ち上げる波に乗って、ガラパゴス・アシカがサーフィンを楽しんでいる。

泳ぎ疲れると岩場に上がる。

前のヒレ足と後ろのヒレ足を使いながら、よちよち歩く姿は、少しぎこちない。

足元のよくない岩の上を歩いた後は、熱帯の太陽の陽射しを受けながらの日向ぼっこだ。

すっかりとの力を抜いて横たわる姿は無防備に見えるが、天敵のいないガラパゴスでは生命の危険に晒されることはない。

 

岩場で勝手気ままに陣取って昼寝をしているように見えるが、数十メートル間隔で縄張りが存在している。

一つのハーレムには、オスは一頭しかいない。

ハーレムの規模は様々だが、強いオスが数頭から30頭のメスと子どもを見守っている。

オスは定期的に縄張りの境界を偵察する。

侵入者がメスや子どもに近づこうものなら、すかさずオスがやって来てハーレムを守る。

メスはオスに比べると小さく、体重は3分の1程度しかないため、メスや子どもを守ることがハーレムの主の使命なのだ。

ところが、各々のハーレムには厳格な縛りはなく、移り気なメスはハーレムから離れ、他のハーレムの一員になることも、しばしばあるようだ。

 

アシカの体は硬い上毛と細かくて柔らかい下毛の二重構造の体毛で覆われており、保温効果を備えている。

体毛は水中で塗れると黒色に見えるが、太陽の光で乾いてくると徐々に茶色からクリーム色に変色する。

体はとても柔らかく、後ろのヒレ足を使って器用に頭や体の毛繕いをする。

頭部には小さな耳たぶがあり、口の横にはヒゲが生える。

ヒゲは触毛と呼ばれアンテナの役割をもっている。

暗い海の中では、ヒゲで獲物を察して捕食する。

口の中には鋭い歯が生えている。

この歯は海中でイカや魚などを捕獲するときになくてはならないのだが、捕えた獲物はほとんど丸呑みするため、食事のときには使われないようだ。

岩場をよちよち歩き、昼寝をするアシカの姿には、ほのぼのとした温かさが漲る。

 

写真(ガラパゴス15-2)

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