音楽ビジネスのネタは、このコラムでもかなりの頻度で書いていますが、不況ということに泣き寝入りするか、全く新しいビジネスを展開するか、そういった動きだけでも大きく変わってくるような気がします。
ネットでの販売であったり、もう全国行脚を敢行して、ライブの収益とCDでの収益をその場で手に入れようとするインディーズ的な方法。
敢えて、CDリリースにこだわり続けるアーティスト。
まぁ、本当に生き残りをかけて、個々奮闘している形ですが、結局、何も革新的な売り方ではありません。
どちらかというと、昔に戻ろうよ…と、いうような後ろ向きな展開になっているような気もしなくも無いのです。
どうせならば、全く新しい音楽としてのビジネスモデルを誰かが仕掛けなければいけない、そういった感覚もあります。
さて、そんな中、知っている人も多いでしょうが、ヒップホップアップアーティスト、Jay Zによる革新的なプロジェクトが話題になりました。
それは、韓国の大企業であるサムスンが、Jay Zのアルバムを50億円で購入し、それを無料配信するという試み。
Magna Carta Holy Grailと聞けば、あぁ…アレね。
と、なるでしょうが、こういった大企業がひとりのアーティストを獲得し、自らの持つ端末などだけで配信する…と、いうまぁ、一応ウィンウィンの構造が成り立つ新しい戦略の練られているのです。
確かに、見返りを考えれば、世界的有名アーティストの影響は大きく、広告費を50億円かけただけ、とも見れます。
アーティスト側は金銭的も安定した収入が得られますし、リスナーとしては無料配信なので、さらに安心して楽しめる訳です。
こういったやり方が、気に入らない…と、いう方も大勢いるとは思いますが、まぁ結果的には、今の音楽不況を指をくわえて衰退を見守る…と、いうネガティブな姿勢よりは数万倍価値のある試みではないでしょうか。
そして、また新たな試みがなされるということで話題なのが、ニューヨークのヒップホップグループ、ウータン・クランです。
どうも、アルバムを発表するそうですが、正規のリリースアルバムとは別に、何と全く別のアルバムを発表とのことです。
重厚な銀箱に入ったこのアルバムは、何と1部のみの販売。
は?何をこいつらかは考えているんだ…と、思ってしまった方は多いと思いますが、実はこの1部を長貴重なものにするというのが、狙いだそうです。
重要な機関、美術館であったり、まぁその他ギャラリーなどで、唯一聞く事ができるパーティーを開催。
そして、最終的に販売する…と、いうことです。
結果的に、現代美術品として大きな価値が生まれるために、数億円という価値になってしまう…と、いう試算だそうです。
レアもの、という事での新ビジネスではありますよね。
いや…いらないし。
と、いう方の方が圧倒的に多いですが、良いんですよ。
世界、数十億人の中の誰か1人、または企業などが買えば完売ですからね。
結局、間口は広くなります。
大きな話題となることは当然でしょうし、購入者もかなりの有名人になるチャンスです。
企業も同じことで、名声が金で手に入るとはまさにコの事、何か、音楽ビジネスも想定外の方向に走りだしているな…と、腰を抜かしてしまいそうな展開です。
とはいえ、この曲の中身は気になりますし、どういった価格で販売されるのかも興味があります。
人の、こういった野次馬的な心を揺さぶるなんて、アメリカらしいやり方ですね。
まぁ、とにもかくにも楽しい事には変わりありません。
ウータン・クランの今後の展開に、注目してください!