食のグローバリゼーション 66

見た目は日本の焼鳥と瓜二つの串焼き

~ インドネシア料理 サテ・アヤン/サテ・カンビン ~

一日の仕事を終えて帰宅する途中に香ばしい煙につい誘われて、焼鳥屋に入ってしまうことがしばしばある。

日本の飲食店街には必ず何軒か焼鳥屋が店を構えており、気軽に暖簾をくぐることができる。

一口サイズに切って焼かれた鶏肉は食べやすく、ビールのあてには最適だ。

鶏肉は宗教的なタブーもなく、世界中で様々な方法で料理されている。

丸焼きにする場合もあれば、日本の焼鳥のように細かく切って焼く場合もある。

 

インドネシアでも、日本の焼鳥と見た目はほとんど変わらない料理があり、数あるインドネシア料理の中でも最もポピュラーなものとなっている。

「サテ」は、様々な種類の肉を一口サイズに切り、串に刺して焼いたものだ。

鶏肉を細かく切って焼いた料理が、「サテ・アヤム」だ。

数片の鶏肉が並ぶ姿には、親近感を感じることができる。

日本の焼鳥と見た目での違いを探せば、肉片が多少小ぶりであることと、串の材質が竹ではなくヤシであることくらいだ。

調理の手順には若干の違いがあり、焼く前の下拵えとして、ケチャップマニスや塩、コリアンダーなどで作ったタレに漬け込む。

香ばしく焼き上がった鶏肉は、そのまま味わうこともできるが、インドネシアでの最も一般的な食べ方は、ピーナツをすり潰して作ったソースを添えて味わう。

上品な甘さをもったピーナツ・ソースが、鶏肉の味をまろやかに包み込む。

ピーナツ・ソースは、下拵えのタレとともに、南国の香りを料理に浸透させているかのようだ。

 

インドネシアは無数の島々から作られる島国であり、多民族の国家だ。料理の種類は民族ごとに多種多様でありながらも、「サテ」は全島に広まっている。

アラビアから移住してきた人々がジャワ島で改良して、周辺の島々に伝わっていったと言われている。

ジャワ島のマドゥーラ地方では、いたる所に「サテ・アヤム」の看板を見かけることができる。

「サテ」の食材は鶏肉ばかりではなく、様々な素材が使われる。

串に刺す材料をヤギの肉に変えると、「サテ・カンビン」となる。

ジャワ島のすぐ東に位置するバリ島に暮らす人々の人気料理だ。

バリ島では「サテ・カンビン」と、ヤギの臓物をスパイスで煮込んだスープ、ご飯を一緒に食べている人々の姿をよく見かける。

他にも、牛、水牛、ウサギ、豚、ヘビ、トカゲなどの肉類、貝類なども、「サテ」の材料となる。

夥しい数の島々で構成されるインドネシアでは、島や地方によって数多くのバリエーションがあるわけだ。

海を越えて島々を渡り歩けば、その数だけの「サテ」に出会うことがきるだろう。

串焼きにされた「サテ」は、食材が何であれ食べやすく、手を汚すことなく手軽に食べることができる。

ところが、最大の問題は焼くときに、もくもくと出る煙だ。

街角ではこの煙が、焼鳥屋に吸い込まれる原因ともなる。

煙の誘惑に引き込まれることなく自宅で焼鳥を作ろうとすると、部屋は煙ってしまい臭いもなかなか消えない。

焼鳥は人気料理でありながら、自宅ではなく焼鳥屋で味わうことが多い。

この事情はインドネシアとて勿論同じだ。

インドネシア人も自宅で「サテ」を調理することは珍しい。

レストランに行けば、ほとんどの店で「サテ」をメニューに並べている。

もっと手軽なのは、屋台の「カキリマ」だ。

行ったことのないレストランに入るには、多少の勇気が必要だ。

その点、道端に屋台を停めて、目の前で料理する「カキリマ」であれば安心だ。

「カキリマ」で焼き立ての「サテ」を選び、屋台の横で熱々の状態で食べれば、アッという間に空腹を満たすことができる。

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