ガラパゴスのアニマル・アート/ネイチャー・アート 18

互いの絆を確かめ合う求愛ダンス

~ ガラパゴス ノース・セイモア島 ガラパゴス・アホウドリ 2 ~

何が目印になっているのかわからないが、ガラパゴス・アホウドリの繁殖地は、諸島の中ではエスパニョラ島のみに限られる。

例年3月下旬になると、遥か彼方の南アメリカ大陸から先ず、オス鳥が故郷のエスパニョラ島に戻ってくる。

暫くしてメス鳥がオス鳥を追いかけるように島に戻ってくると、次から次にカップルが誕生していく。

ガラパゴス・アホウドリが求愛するとき、極めて特徴的なアクションをする。

クチバシを回転させながらおじぎをし、互いのクチバシを軽く打ち合わせる。

そして、クチバシを高々と青空に向けて、大きな鳴き声をあげる。

2羽のガラパゴス・アホウドリの呼吸がぴったり合えばカップルの成立だ。

一度カップルになったつがいは、どちらかが死ぬまで生涯連れ添い続ける。

このユニークな求愛ダンスは、新しいカップルの誕生には不可欠なセレモニーだが、契りを結んだペアにとっては、互いの絆を確かめ合う手段となっているようだ。

 

4月中旬になるとメス鳥が白色の卵を産み始める。

一年に一度の産卵だが、産み落とされる卵は1個で300グラム前後の大きなものだ。

巣と呼べるようなものは作ることはないが、海岸沿いの岩場に小石や草木を少し集めた寝床に、次から次に卵が並び5月中旬には産卵の時期を終える。

貴重な命が宿る卵は、オス鳥とメス鳥が共同作業で温め続ける。

一羽の親鳥が20日もの間卵を暖め続けることも珍しくないようだ。

親鳥の体温を固い殻を通して感じながら、すくすくと成長したヒナは、約2ケ月後に茶色の羽毛で覆われた姿で殻を破る。

自然の空気に触れたヒナ鳥は、暫くは親鳥に寄り添ってもらえるが、2週間を過ぎると親鳥たちは海に漁に出かけてしまう。

島に残されたヒナ鳥たちは、近くのヒナ鳥たちと集団を作って遊びながら、親鳥の帰りを待つことになる。

海の方に飛び立った親鳥たちの大切な役目は、ヒナ鳥のエサを確保することだ。

ヒナ鳥のために、たっぷりとイカや魚を捉える。

捕獲したエサは新鮮な状態でヒナ鳥に与えるのかと思いきや、ガラパゴス・アホウドリの場合は少し違うようだ。

一旦、自分の胃袋の中で半分消化して油状にするのだ。

この油状のエサを胃袋から吐き出して、ヒナのクチバヂに注ぎ込む。

半分消化されたエサはヒナ鳥たちにとっては、消化が早く栄養分として吸収しやすいのだろう。

一度に2キロ近くのエサを口にすることもあり、ヒナ鳥はエサの重さで歩けなくなってしまうこともあるようだ。

親子の鳴き声で互いを確認し合いながら、愛情のこもった子育てが続き、12月頃までには自分でエサを捉えることができるまでに育つ。

自ら採餌ができるようになると巣立ちの時を迎える。

どのような鳥も成長すれば巣立ちするのだが、ガラパゴス・アホウドリの場合は巣立ちの一言で済ますことができるようなレベルではない。

単に住み慣れた巣から飛び立つのではなく、島を離れてしまうのだ。しかも旅先は、1000キロ離れた見知らぬ土地の南アメリカ大陸だ。

親鳥に負けないような飛翔能力をつけ、1月頃には故郷のエスパニョラ島を飛び立ち太平洋の洋上を羽ばたいて行く。

南アメリカ大陸に辿り着くと、それから数年間は異郷の地で生活を続ける。

フンボルト海流が海岸に沿って北上する豊かな漁場で、たっぷり栄養をとって大きく成長していく。

生後4、5年になると、伴侶を求めて故郷のエスパニョラ島に帰省する。

どんなに故郷から遠く離れた異郷の地で暮らしても、郷里の島を忘れることはない。故郷で次の世代を育てるのだ。

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