ガラパゴスのアニマル・アート/ネイチャー・アート 19

灼熱の溶岩流が岩盤に描いたアート

~ ガラパゴス サンタ・クルス島 溶岩トンネル ~

日本は火山大国と呼ばれることもある。

細長い島の中に夥しい数の火山が点在している。

現在でも100を超える火山が、活火山として地下に灼熱のマグマを滾らせている。

数年前にテレビのディスプレイに映し出された雲仙普賢岳、有珠山、三宅島などの火山の噴火の様子が記憶に新しい。

鹿児島に行けばいつでも、錦江湾の先に噴煙を巻き上げる桜島の姿を目にすることができる。

ひとたび火山爆発が起こると、轟音とともに煮えたぎった溶岩流が噴出する。

真赤に染まった液状の岩石の中には巨大なエネルギーが秘められ、山の麓の集落をアッという間に押し潰すこともある。

自然の脅威の前で人間は非力なものだが、動物と同じように地球も生命体の如く活動している証と言えるかもしれない。

太平洋上に浮かぶガラパゴス諸島は、気の遠くなるような期間にわたる地殻変動によって誕生した。

 

約1500万年前に、諸島の西部にガラパゴス・ホットスポットが出現した。

それ以来、絶え間なくマグマが噴出し、赤道を挟むエリアに100を超える島々が誕生した。

今では数々の種類の動植物の楽園となっている島々は、地球上に姿を現した当初は、溶岩の塊でしかなかった。

ガラパゴス海台を土台とする島々は、さらに深い位置にあるナスカプレートの岩盤を基盤としている。

どのような力が加わろうとびくともしないプレートは、地理的に固定した位置に静止しているわけではなく、一年に約5センチの東南東に移動し続けているという。

南アメリカ大陸から1000キロ近く離れたガラパゴス諸島に入植が始まったのは、1935年前後からだ。今では、数島にガラパゴスの自然を保護することを目的とした人々が定住し、集落が形成されている。

誕生以来150万の時を経て休火山となったサンタ・クルス島には最も多い約2万の人々が日常生活を送っている。

マグマが冷えて固まった溶岩は風雨の浸食作用によって、徐々に植物が育つ環境となる。

島の中央のハイランドにはスカレシアなどの大木が群生しているが、地下に目を移せばいたる所に、地球内部で燃え滾るマグマの痕跡が残されている。

岩盤の裂け目から噴出した溶岩流が、トンネルを作り上げた。

底を平らにして線路を敷けば、地下鉄を走らせることができそうだ。

日本をはじめ世界各国の大都市部の地下には、掘削機械が掘り進んだトンネルが網の目のように張り巡らされている。

硬い岩盤を掘削するには巨大な力が必要だが、地球にはシールドマシンを遥かに超えるエネルギーが蓄えられているのだ。

溶け出した溶岩は地表を削りながら流れる。

溶岩流が去った後には、アーチ状の空洞が残された。

島内に点在する溶岩トンネルの中には、全長2キロに及ぶものもある。

地表にポッカリと開いた穴から大地の空洞に足を踏み入れると洞窟探検をしているような気分になる。

太陽の陽射しが届かない空間は、ひんやりとしてトンネルを吹き抜ける風が肌に心地よい。

底にはマグマが固まった溶岩がごろごろと転がり歩きづらいが、天井や側面に目をやるとアーティスティックだ。

溶岩流が目にも止まらないような速度で抉った側面には無数の平行線が引かれている。

今では固まって静止しているのだが、スピード感とエネルギーが滲み出てくる。

燃え盛るマグマは周囲の岩盤を変色し、壁面は豊かな色彩をもったペインティングとなる。

溶岩流が何かを描こうと意図したわけではない。

自然が創り出したアート作品だ。今でも活動を続ける地球は、人間の創造力を超える独創性を秘めているのかもしれない。

 

写真(ガラパゴス19-2)

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