アンデスの大地に刻まれるアース・アート 18

今にも山の斜面から飛び出しそうな2人の子ども

~ ペルー パルパの地上絵 2 ~

20世紀から世界的に広く知られるようになったナスカの地上絵は、考古学的にも神秘に満ち溢れ、世界の七不思議に続く八番目の不思議と言われることもある。

地上絵に潜む謎に数多くの研究者が挑戦し、制作の目的や方法などが次々に解き明かされつつある。

でも、地上絵に関する全てのことが解明されたわけではなく、まだまだ想像力を研ぎ澄ましながら観察する必要があるようだ。

ナスカのパンパに描いたアーティストのルーツを探る調査も、周辺のエリアで盛んに行われている。

ナスカから北上しインヘニオ川を超えたパルパと呼ばれるエリアでも、数々の特徴的な地上絵が最近発見された。

酸化によって褐色に変色した石を地表から取り除き白色の地肌を露出することによって、描画していることはナスカの地上絵の作画技法と全く変わらない。

 

 パルパに人間が定住したのは紀元前800年頃のことと推定されており、ナスカに地上絵が描かれる数百年前に遡る。

北西の半島部から移り住んだパラカスの民が、パルパのエリアで独特の文化を築いた。

この「パラカス文化」が、時を経てナスカのパンパに引き継がれたと考えられている。

150平方キロにわたって広がる山間のエリアに、数々の地上絵が描かれている。

ナスカでは大平原の平面に幾何学図形や動物、植物が描画されているが、パルパは山の斜面を巧みに活用して作品が創作された。

一つの傾斜面に幾つかの図柄が列をなしているところもある。

 

パン・アメリカン・ハイウエイ近くに建つ観測塔のミラドールからは、視界の角度を選ぶことなく、ユニークなアート作品を目にすることができる。

ミラドールの正面には、4人の人型のフィギュアが隙間をあけることなく描かれている。

シャーマンを描いたものと考える研究者もいるが、茶目っ気を帯びた絵柄には、超自然的存在のシャーマンではなく、人懐っこさと親しみを感じることができる。

左端の人物は、お下げ髪を垂らす女性のようだ。

頭部から引かれる4本の線が極めて特徴的だ。

きっと人間の毛髪を描いたものだろうが、鳥の羽根や、昆虫の触角がイメージされる。

左から2番目の人物は、大きな目をして、頭部に冠を被ったような姿をしている。

全身から光を発しているようで、太陽の化身かもしれない。

胴体は百獣の王、ライオンのようにも見え、全体的に勇敢な印象を与えている。

右側に描かれる2人の人物は小さめに描かれているため、子どもではないかと考えられる。

標準的な家族構成から類推すると、左から母親、父親、子ども2人のファミリーの姿が脳裏に浮かんでくる。

父親は一家を支える大黒柱となり、その横に悪戯好きの男の子、はにかみやの女の子が並んでいるのだ。

元気な子ども達は山の斜面にじっとしていることができず、今にも飛び出しそうだ。

静止した絵柄でありながら、動的なものを感じさせる。

この地上絵が何を象徴しているかの定説なないが、微笑ましい家族の姿と見ることに無理はないだろう。

 

写真(アンデス18-2) (1)

 

ナスカの地上絵は一筆書きの線による描写がメインであるのに対して、パルパの地上絵は、平面が塗り潰されている。

箒のような道具を使って穿き出したか、それとも輪郭を描いた後に一つ一つ順番に石を除去したのだろうか。

いずれにしても、作画方法はナスカとは違いがあるようだ。

どちらの技法が優れているかの優劣などつけようはないし、そのこと自体に意味はないだろう。

少し異なった方法で類まれなアートが地表に刻まれたことに変わりはない。

過去の技法に改良を加え、新たな表現方法が考えらたことに間違いはない。

 

 

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