子供の王国から空中料理でBBQ三昧 

今年も地球の体温は下がらない、いつになれば平熱に戻ってくれるのだろうか。

そんな暑さに耐えきれないのか、衣服を纏った生命体は外灯に羽アリが集まる如く苦い液体を求め高い建物に三々五々集まってくる。

しばらくビアーガーデンも虫の息であったが、このところやたら賑わいを見せてきた。

 

渋谷の東急本店の屋上からバーベキューテラスなるものが突如現れた、これまで閑散としていた屋上に火が点いたような忙しさで笑いも止まらないほど人気のようだ。

ここの屋上は私にとって隠れ家的空間で、本を読むも良し、うたた寝も良し、缶ビール片手に日がな一日過ごす絶好の楽園だった。

経営者には申し訳ないが、平日の昼間全くと言って良いほど人はいない、一角にある”ヴェルデステ”という渋谷区では一番大きい園芸専門店に僅かながら来店する程度の屋上、従ってこの屋上は私にとって独り占めできるある種の”居留地”であった。

昔は子供の楽園であり、屋上は東京ディズニーランドもしくはユニバーサル・スタジオ・ジャパンに匹敵するほど、やや小ぶりではあるがアミューズメントパークそのものだった。

浮き世の流れとでも言えば良いのか、いつしかどこのデパートメントストアも風前の灯火と相成り子供たちはどこかへ消えていった。

どこの屋上も人の気配はなく、錆び付いた遊具だけがひっそり影を落としていた、あれほど賑わった子供たちの楽園は潰えて、代わりにデパートによっては空中庭園を作り客足を空へと誘導していた、はてその後の評判は……。

件のバーベキューテラス、予約もなかなか取れないそうだ。

4月に始まり早4ヶ月が経った、さぞや客は酔いに酔いしれ果ては肉を喰らい、ホットドッグを頬張り、ベイクドポテトをつまんで胃袋を満たしていることだろう。

このバーベキューテラスを運営しているのは東急本店ではなく、O2O型サービスを展開する会社であった(O2Oとは、Online to Offlineの略。

インターネット上のウェブコンテンツやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)におけるサービス(Online)を、実在する店舗(Offline)での集客アップや購買促進につなげる仕組みのこと。

ネット上の価格比較サイトで商品の最安値を調べたり、オンラインショップに掲載されている購入者の口コミを参考にしたりして、実店舗での購入を検討するといったケースが、O2Oの身近な事例だが、このケースはEC(電子商取引)が普及し始めた2000年頃から用いられているもので、ネット上の店舗と実店舗を組み合わせたビジネス手法「クリック&モルタル」と同様である。知恵蔵2014より引用)。

取りあえず、知恵蔵2014の出典から引用はしてみたものの、いまひとつ分からない、いわゆるネットを駆使した販促ビジネスとでも解釈すれば良いのだろうか……。

 

バーベキューテラスの売りは、持ち込みが自由というところだ、デパートの地下食品売り場で買うも良し、近くのスーパーもOK、飲み物もしかり。

中には買い出しするのが面倒という諸氏もいるだろう、心配するなかれ事前予約で欲しいものをチョイスすることも可能なのだ。

この辺りが欧米との違いで、日本という国はなんと行き届いた国であろう、料理は手を煩わせるところに美味さを感じるのだが。

摩天楼が見える場所でバーベキュー、煙たなびくその風景、車の騒音……やはり湖畔や山の稜線が望め、風がそよぐ場所で楽しみたいものだ。

個人的には、このような場所でさんざめくのは苦手なため、階下にある図書館を思わせるほどの書店で書物を眺める方がしっくりくるのである。

因みに、バーベキューテラスの広さは50テーブルの中に500席の椅子が埋まるほどの大きさ、調べてみるとここを運営している会社は既に公園でバーベキュー展開もしていたようだ。

外でバーベキューとなれば、道具も必要だ。

テーブルや椅子をはじめ、コンロやトングなどのバーベキュー用具、ごみ袋、紙皿や箸などの食器、塩・コショウなどの調味料などは店で用意するとのこと、要は”手ぶらで利用できる”……昔、幕張辺りだったかと思うが人工スキーを楽しむスキー場があった、高速湾岸線からも見えた、CMから流れるキャッチコピーはそれこそ”手ぶらスキー”であった。

しかしその人工スキー場もいつの間にか露と消えた。

バーベキューテラスの1人当たりの料金だが、大人は2,000円、子供は1,000円となっている(再度老婆心ながら食料は別途であることをお忘れなく)、利用時間は1組4名限定の2時間半、高いか安いかは皆さんのご判断だ。

グルメ時代が去り、B級グルメが到来し、そしてビルの屋上からBBQ、なんとも人間の食欲を駆り立てエピキュリアンなことだろうか、次の獲物……洞窟辺りかそれとも地下鉄銀座線の幻の新橋駅、辺りだろうか。

デパートも戦国の世の下克上と似ている、つぶし潰され和睦を結ぶ、生き残るにはあらゆる戦術が欠かせない。

同じようにスーパー業界も老舗が苦戦を強いられどこかの会社に吸収されていく、色鉛筆もたくさんの色があってこそ楽しめる、20色あった色鉛筆も5色になってしまえば差別化などありゃしない、個性は無用だと言わんばかりの勢いだ。

デパートを利用する人たちの殆どは年配者だ、若者たちを呼び込むための秘策は……今回の屋上が成功したように次の一手は何が登場するだろうか。

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