ガラパゴスのアニマル・アート/ネイチャー・アート 20

太陽の陽射しを受けて黄金色に輝く色鮮やかな小鳥

~ ガラパゴス サウス・プラザ島 キイロ・アメリカ・ムシクイ ~

 

日本人にとって最も身近な鳥はスズメではないだろうか。

市街地であれ住宅街であれ、日本中のどこででも、その姿を見ることができる。

電線に一列に並んで囀る姿は統一感に満ち絵になる構図を作る。

『舌切り雀』などのおとぎ話にも登場するが、意外と人間との関わりは密接とは言えない。

人間を恐れているのだろう、近寄って来ようとはしない。

 

スズメは白色の腹部の上に茶色の羽根をつけている。

地表の土や木の幹の色に近いため、保護色としの役割をもっているかもしれないが色彩的には地味だ。

このスズメの体色を原色にペイントすればどういうことになるだろうか。

遠くからでもその存在に気づくようになるだろう。

 

ガラパゴス諸島に行くと、姿形はスズメと瓜二つなのだが、色合いがまるで違う鳥に出会うことができる。

キイロ・アメリカ・ムシクイは、全身がパステル調の鮮やかな黄色の羽毛で覆われている。

太陽の陽射しを受けると黄金色の輝きを放つ。

黄色は有彩色の中でも最も明るい色彩と言われることも多く、光や太陽がイメージされる。

褐色の溶岩で覆われるガラパゴスの島々の中で、キイロ・アメリカ・ムシクイの姿は一際目を引く。

色彩に加えて小さな体が、軽やかな印象を与える。

 

島の中ではどこにいても目立つキイロ・アメリカ・ムシクイだが、セスビュームの草村の中に入ると少し事情が変わる。

セスビュームは厳しい太陽の光に晒されると赤く変色する。

乾季になると真赤に紅葉するのだが、季節の変わり目には、赤色と緑色が折り重なる地上を作り上げる。

セスビュームがまだら模様を作る中に、キイロ・アメリカ・ムシクイが迷い込むと、独特の色彩のコントラストを作る。

モノトーンのガラパゴスにあって、原色揃い踏みの状態だ。

 

オス鳥とメス鳥の色の違いを観察すると、オス鳥の方が幾分明るい色合いをしている。

オスは成鳥となると、頭部が少し茶色味を帯びる。

また胸部に注目すると、赤色の縞模様があることに気づく。

体全体を細かく見ると繊細な配色となっている。

キイロ・アメリカ・ムシクイは、ガラパゴスに生息する動物の中でも、筆頭格のおしゃれセンスをもっていると言えるそうだ。

 

キイロ・アメリカ・ムシクイの行動範囲は極めて広く、海岸線から高原地帯まで諸島の全域に広く分布している。

民家やホテルの窓の外で羽根を休めていることもよくある。

日本のスズメとは違い、人間を恐れることはないのだろう。

 

車が行き交う道路にも突然飛び出してくる。

信号など設置されていないガラパゴスの島々では、キイロ・アメリカ・ムシクイと車の衝突事故も多発しているようだ。

体長10~15センチ、翼長20~22センチ前後の小さな小鳥が突然、フロントガラスの前に姿を現してくると、避けることはできないだろう。

島の警察官はキイロ・アメリカ・ムシクイとの交通事故の防止のために、ドライバー達に速度を出し過ぎないように呼びかけているという。

島に生きる生物を保護することに細やかな注意を払うガラパゴスならではの話だ。

 

可能であれば人間がエサをあげたくもなるが、キイロ・アメリカ・ムシクイは、植物に隠れる昆虫類を捕食する。

草村で小さな体を細かく揺り動かしながら、草花の上に潜む小さな虫を啄む。

体色から主食まで命名通りの習性というわけだ。

 

夏の繁殖期になると、苔や地衣類を木々の枝に絡ませて巣づくりを始める。

諸島内のほぼ全域で繁殖活動が行われ、新たな生が枝の上の巣から飛び立ち、島のいたる所に鮮やかな彩りをつけてくれる。

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