現在、日本はもとより、海外でもデザインチームというのがデフォルトとなっているような気がします。
デザイナーというと、どうも才能ある個人の事を差しているような気もしますが、結果的に世に送り出され、素晴らしい!と、賞賛を受けるプロダクトはチームでデザインされている事の方が多いのです。
こういったチームで行うデザインのよさは、アイデアも一人の頃の数倍であり、効率化も考えられます。
とはいえ、自分の思った通りのデザイン案でなかったり、仕上がりで無かった場合、やっぱり一人でやっときゃ良かったということにもなります。
この辺りが異様に難しいですよね。
だからこそ、互いにしっかりとリスペクトし合い、そして相手の意見を認めデザインに活かして行く事なのです。
さて、そんな協調性が重んじられるデザインチームで大成功を収めている話題のトリオがいます。
それが、デンマークの「KiBiSi」建築設計事務所「BIG」創業者のビャルケ・インゲルス、自転車ブランド「Biomega」創業者のイェンス・マーティン・スキブステッド、工業デザイン会社「Kilo Design」創業者のラーズ・ラーセン。
この3人によって生み出される数々の奇想天外なプロダクトのレベルの高さは、他とは一画を超えた斬新なレベルとして話題となっているのです。
この3人の名前で軽く色々調べていると、何やら面白いものを大量にこしらえているようで、空飛ぶ車などもあるそう。
もう、完全にドラえもんの世界に入っていますが、その発想を超えた部分で生み出されるクリエイションが、大きな名声を手に入れるキッカケとなるのでしょう。
さて、その中でもちょっと気になってしまったのが、ヘッドフォン。
デンマークのヘッドフォンメーカー「AIAIAI」のために、KiBiSiがデザインしたDJ用のヘッドフォンなのですが、異様にミニマム。
ルックスと言えば、パッと見真っ黒で相当なクール度合い。
とはいえ、よくよく見てみると隠されたディティールが詰まっています。
アーサー・C.クラークのSF小説『2001年宇宙の旅』に出てくる謎の黒い物体である「ティコモノリス(TMA-1)」から名前が引用されているようで、実にインテリジェンス。
とにかく無駄に無駄を削ぎ落とす、そんなミニマリズムが追求されたデザインがたまりません。
ヘッドフォンのサイドの調節部分は時計の穴空きベルトのようになっており、若干の曲がり具合がちょっと愛らしい印象にも。
何も無さそうで、ちゃんとAIAIAIと分かる、そんなKiBiSiらしさというかデンマークっぽい雰囲気の仕上がりとなっているのです。
因みに、このフライング・ロータスを始めとした、トップアーティスト達に試用されているようで、その現場対応力もお墨付き。
別に、DJをしませんけど…と、いう方でもプロ仕様のこいつを使っていただきたいですね。
また、ちょっと気になったのが、ソファ。
デンマークの家具メーカー「versus」のためにデザインしたものなのですが、これまた斬新。
何となく、デザインチームの考えるソファというのは、異様にミニマムだったり派手だったり。
さらには、もうアイデアなんてのは出尽くしている感もあり、今更ソファなんてと思っていたのですが、良い意味で期待を裏切ってきます。
クッション、というか日本でいう座布団?
これを、重ねてまさに座布団の集合体のようなルックスに仕上げてしまっているのです。
ビャルケ・インゲルス氏が自分の部屋に置きたいと思うようなデザインになっている、というのですが、まさにその発想自体もユニーク。
普通のデザイナーは、口だけで結果的には企業よりのデザインとなるのですが、本当にそれ通り仕上げてしまうのですから、たまりません。
とにかく、この発想力には驚かされるばかり。書き足りないほど、アピールしたいのですが、とにかくこの辺で…。
デザイン業界を変化させる可能性大のKiBiSi。
これからも、かな~り注目です!