魚はアートになるのか?と、問いかけると、殆どの方がアートになると答えると思います。
確かに、魚はそれだけでも美しい姿をしていますし、今年企画されたプロジェクトマッピングと水族館のコラボも素晴らしいアートです。
あと、毎年のように行われてるとなれば、あのアートアートアクアリウムですよね。
アートアクアリウム・プロデューサーの木村英智氏も、毎年金魚を使って美しく雅な企画展示を大胆に開催していますが、
今年も大盛況だったようですよ。
結果的に、水と魚というのはアートの世界において定番であり、存在自体がアートとして認識されている、といっても過言では無いのです。
さて、そんな魚とアートですが、こういったアプローチもあったのか!?と、いうものを発見しました。
それが、今度は脊椎動物のバイオメカニクス研究者による作品なんです。
独特な化学技術を用いて、魚の内側を透かしものです。
透けた魚といっても、ただシースルーボディになっているのでは無く、ネオン色に骨や鱗、そして輪郭などが縁取られています。
アブストラクトのようなルックスになっており、どうも本当の魚という想像がつかない美しさに仕上がっているのです。
実際、この作品は研究の一貫だったようですが、ちゃんとシアトル水族館で展示されていたようですね。
なかなか、研究をアートにしてしまうなんて考えたなぁ、と思いますが、これがいつもいうアメリカらしさでしょうか。
魚の泳いでいる水族館を美しくする方法はまだ考えつくかもしれませんが、魚自体を透かせてしまえ、というのは、
研究目的でもなければ感がえつく事ではありませんよね。
死体という事になるのですが、また死体が美しいという部分がアート心を盛り上げるポイントとなっているのでしょう。
さて、この魚を透かすアートの展示なのですが、素晴らしい以前に、一体どういった撮影の方法だったのか、気になってしまいますよね。
先ず、死んだ魚を用意して組織を保護しつつ、染料と酵素が染みこみやすいように定着させていくそうです。
そして、最終的にちょっとづつその組織に色づけを施していく、という方法だったみたいですね。
アルシアンブルー、アリザリンレッドS、トリプシンという消化酵素で肉を排除し、色素を過酸化水素で脱色していくのだそうです。
こういった研究にでも興味がないと、何が何だかサッパリ分かりませんが、凄い手が込んでいるという事は分かりますね。
最終的に、グリセリンに沈めて行くと、色付けしたところ以外が透けて見えるのだそうです。
そして、デジタル一眼レフカメラにマクロレンズを装着。溶液に漬けられた標本を、色補正されたLEDテーブルに置いて作品となるようです。
いや…これは、アートへのアプローチというよりも、ほぼ研究ですよね。ただ、化学とアートも紙一重の部分があるの
で、新たな現代アートの姿というように捉えても、全く問題は無いのではないでしょうか。
エイなどを見てみると、その軟骨でしょうか、相当繊細になっており美しいという以外に言葉が見当たりません。
エゾアイナメも、どこかフューチャリスティックな印象となっており、懐石で良くだされるあのアイナメのイメージとはかけ離れています。
各所の色づけを変化させれば、より表現が幅広くなっていくでしょうし、キリなくデザインがしていけそうです。
この研究によって、魚だけでなく様々な何かがアートへとなっていく、
そういった可能性が示唆されているのではないでしょうか?日本では見る事が出来そうにありませんが、
いつか、当たり前のようなアートのアプローチになり、コノ目でその作品を見てみたいものです。