ガラパゴスのアニマル・アート/ネイチャー・アート 22

生存するために食生活を変えることによって進化した体の各所

~ ガラパゴス サウス・プラザ島 ウミイグアナ ~

 

自然に生きる動物は、気象の変化によって生活環境を変えざるをえなくなることもある。

かつて、南アメリカ大陸の陸地で暮らしていたイグアナは、洪水などによって倒された流木に乗って太平洋を渡り、ガラパゴス諸島に漂着したと推測されている。

見渡す限り大地が広がる大陸から四方を海で囲まれた島に流れ着くと、生存を続けるためには生活パターンを変えざるをえない。

 

ところが、火山岩で覆われた小さな島では、食料を確保するのも容易ではない。

生き残るための基盤である食生活する変えざるをえなくなった。

広々とした大陸に生える多種多様の植物を食べていたイグアナが、溶岩が冷え固まった岩場では、大陸での食生活を続けることはできない。

 

陸上で乏しい植物を見つけるために、イグアナは海に潜るようになったのだ。

海底には海藻が豊かに育っている。

豊富な海藻を食料とすれば、生きるための原動力を得ることができるわけだ。

 

陸上で暮らしていたイグアナがどのようにして、潜水能力を身に着けたかは定かではないが、生存していくには不可欠の技術となった。

ガラパゴス諸島には、世界で唯一、海に潜ることができるウミイグアナが誕生した。

海の中を生活環境の一部に加えたウミイグアナは、体の各所をそれに適した形に進化させる。

 

海の中を泳ぎまわるために、尻尾が平たくなった。

尻尾をボートのオールのように、力強く左右に振りながら水の中を自由に移動する。

遊泳のために重要な役割を果たす尻尾は、体長の約半分を占める長さだ。

荒波の中でも体をコントロールするには、これだけの長さが必要なのだろう。

 

お腹を空かせたウミイグアナは、海岸から海の中に入り食事場所に向かう。

陸地と違って海底では、海流や波に四六時中、揺さぶられることになる。

波にさらわれてしまっては、食事にはありつけない。

しっかりと海底の岩場で体を固定することが必要だ。

ウミイグアナの足には長い指と鋭いカギ爪が発達しており、この爪で岩の窪みをしっかりと捉え、海水に流されないようにして海藻を食べる。

 

ウミイグアナの好物の緑藻と紅藻が豊富に茂っている海底に体を固定できれば、ウミイグアナの食事が始まる。

唇は海藻を岩からはぎ取るために、硬い上に分厚くなっている。

口の中に入れた海藻は、ギザギザに並んだ歯で噛み砕く。

 

大きな口の上には小さな穴があいている。

鼻は陸上で呼吸するための空気穴だが、そこに海の中で体内に入った余分な塩分をはき出すための塩腺を備えるようになった。

海から上がると、鼻の穴から塩水のしぶきを勢いよく飛ばす。

何度も塩水を吹き出すと顔のあちこちに、白いしぶきの跡形を残すことになる。

 

顔全体を正面から眺めると、硬い鎧を被っているかのようだ。

まるで恐竜のような姿は、天下無敵に見えるが、左右の2つの目は人懐っこそうでチャーミングだ。

 

顔の後頭部から尻尾に向かって視線を移すと、鶏のとさかのような突起物がある。

皮膚の表面を覆うウロコが、トゲのような形状になったものだ。

特に後頭部の突起は大きく、盛り上がっている。

このとさかはオスの方が大きく、オスとメスを見分ける一つのポイントとなっている。

 

顔を含め、体全体は黒っぽい皮膚で覆われている。

潜水によって冷えた体を温めやすくするように、体全体が太陽の光を吸収しやすい色合いになっているのだ。

そればかりでなく、岩場では保護色としての役割を果たしている。

逆に太陽の光で赤く変色したセスビュームの上では、見事な色彩のコントラストを見せてくれる。

 

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