フィルムコミッションで透視する、ふるさと

フィルムコミッション、聞いたことあるだろうか。

この数年、フィルムコミッションの活躍は目覚ましいものがある。

映画やテレビなどの撮影場所誘致や撮影支援をする団体で、その殆どは県や市などの自治体などが仲立ちとなり、地域活性化のためにおらが村やおらが町を宣伝するために誕生したのがフィルムコミッション。

この組織は、映画、テレビドラマ、CMなどのあらゆるジャンルのロケーション撮影を誘致し、ロケーションをスムーズに行うための非営利公的機関。

その活動範囲は国内外問わず、ワールドワイドにロケーション誘致や支援活動などに大きく寄与しているという。

最近は民間企業からも似たような団体が生まれていることもあり、1都1道2府43県での故郷PR合戦はますます活気の様相を呈してきた。

 

先日、西新宿の産業会館に於いて”JFC全国ロケ地フェア2015”が開催された。

フィルムコミッションの存在は知っていたが、このようなフェアが毎年行われていたとは知らなかった。

某県のフィルムコミッションの代表の方より招待を受け西新宿まで出かけて行った。

この代表の方とは拙映画を某県で上映することがきっかけとなり知遇を得る。

会場には優に百人はいただろうか、外は凍り付くような寒さであったが、中へ入るとむせ返すほどの熱気に溢れていた。

入口から北海道〜東北〜関東〜甲信越〜中部〜近畿〜中国〜四国〜九州〜沖縄と各ブロックに分かれ、テーブルには溢れんばかりの宣伝用チラシが並べられていた。

今、地方はふるさと納税のブームで押しも押されぬほどの人気ぶりだ、その一方で急激な過疎化により人口減少が進んで村が消えてしまうという噂もあったりする。

日本全体が元気であればそれに越したことはないが、その人気度も地域によってバラバラで歪だ。

またパワースポットと称して神社仏閣の人気も地方の活性化の一役を担っているが、熱しやすく冷めやすい国民性、はてこの人気はいつまで続くだろうか。

そんな状況を横目に見ながら着々と推し進めてきたのが、フィルムコミッション。

それを総括する機関がジャパン・フィルムコミッション、そこの概要にはこんなことが列記してある。

“全国の撮影支援ネットワークを強化し、国内外の映画・映像作品の製作支援をはじめ、フィルムコミッション(以下:FC)や映像関係者の人材育成支援、映像産業の振興、映像文化の普及、地域資源の評価などの資する事業を行い、国や地方公共団体、FC、映像関係企業や団体、職能者組織などと協力・連携し、日本の撮影環境の発展に寄与することを目的とする団体です”。

このトップ、つまり理事長だが元文部省(現文部科学省)のお役人だった寺脇 研氏(京都造形芸術大学教授)が組織の長としてジャパン・フィルムコミッションを牽引している。

ウィキペディアを見ると、寺脇氏、”ゆとり教育”を広めた人物として有名だが、映画評論家としての顔もあり、人は見かけによらないものだ。

しかし、この概要、寺脇氏の筆によるものではないと思うが、もう少しくだけた概要にならなかっただろうか。

フィルムコミッションの出自は各自治体ということからか、文言がお役所言葉のようで面白みに欠け、肩が張ってくる。

現在、この団体に加盟している正会員は103団体、またこの団体には登録していない数を合わせると200を超えるというから、その活動ぶりが窺われる。

 

ジャパン・フィルムコミッションが打ち出すFC(フィルムコミッション)の3要件

1.非営利公的機関であること

自治体や外郭団体、NPOや商工会であっても無償で制作支援を行います。

撮影隊と金銭の授受を行わない関係を保つため資金援助、タイアップ協力はしていません。

2.撮影のためのワンストップサービスを提供していること

撮影に関する一元的な窓口を担い、ロケーション情報の提供や、公的施設等を利用する際の、許認可調整を行います。

3.作品内容を問わないこと

全ての依頼作品を支援し、撮影の内容や規模によって優遇・拒否することはありません。

それは作品の内容をFCが評価することになってしまいます。

優遇されることを狙ったり拒否されることを恐れたりして作品内容が自主規制されるような結果になれば、映画にとって最も大切な「表現の自由」を制約することになりかねません。

ただし、ロケ地の使用については管理者によって断られることがあります。

 

このフィルムコミッションの出現により製作者たちが考える”地方”対する目線も変わってきたのではないだろうか。

フィルムコミッションが登場してない頃は、製作者(映画・TV・CM等)たちはロケハンと称し、各自が好きな町や村へと出かけて行き”画になりそうな場所を”映像ハンティングをしてきた。

そこには多大な時間と労力を要し、それは制作費にも影響が及ぶ。

それを一切なくしたのがフィルムコミッションの存在である、国内外の製作者に対して全国のロケ地やフィルムコミッションに関する情報提供を無償で行う。

非営利団体ということから、運営費は自治体からの援助によって賄われる。

従って、決して儲かる仕事ではない、よほど地元に愛着がなければできない仕事と言っても過言ではないだろう。

件の某県の代表が面白いことを言っていた。

その代表はフィルムコミッションを担当する前は、映像とは全く関係のない部署で働いていた。

2002年に立ち上げた当時、右も左も分からない某県の代表とスタッフたちはある映画製作者たちからロケハンのイロハを教えてもらったのだという。

弁当の手配に始まり、旅館の手配、大型バスの駐車場の確保、交通整理、そして制作者たちがどんな景観を撮りたいのか等々、ずぶの素人集団は頭の中が真っ白になるほど学んだことだろう。

そのフィルムコミッションも結成から13年のが経つ、いまやどこの制作プロダクションよりも負けないくらいロケハンのプロが集まった集団となった。

フィルムコミッションの登場によって、町や村は息を吹き返し、新たなコンテンツがひとつ、またひとつと芽生えていく。

地道な活動だが彼らなくして地方の活性化はない、次回のJFC全国ロケ地フェアに正会員が増えることを願って止まない。

 

KC3Z0080

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