マルチクリエイター天谷窓大(あまやそうた)on twitter
職業:マルチクリエイター(プログラマー・ライター・ラジオパーソナリティ、キュレーター・ほか)
出身:東京都練馬区 大泉
20代という若さで本業のプログラマーに加え、ライター業、ラジオのパーソナリティなど様々な顔を持つ天谷窓大さん。
一体どんな人物で、どんな毎日を送っているのでしょうか。
気さくな人柄で終始笑いの絶えなかったインタビューの様子をお届けします。
あなたにも出来る!目指せマルチクリエイター!!
たまたま出会ったものしり博士
1.現在までにいちばん影響を受けた人物はどなたですか?
中学2年生の時に家族旅行に行ったんですけど、その時にたまたま父の知り合いの雑誌編集者さんとそのご家族に会ったんです。編集者さんは僕相手に色々な話しをしてくれました。しかも中2の僕がゲームの話しを振ってもついてこれる。どんな話題も詳しく返してくる。やっぱり編集者って色んなとこ行って色んな世界観てるんだなぁって。そこで興味を持ったのが今の自分のルーツとしてありますね。
では、もともとは編集者に憧れを持っていたんですか?
その頃は編集者とラジオパーソナリティになりたくて。
ラジオですか?
小学生の頃から良く聴いていたんです。それもあってとにかくラジオ番組が作りたくて作りたくて、高校から大学時代にかけて地元のコミュニティFMで友達と5年間番組をやってたんですよ。最初はそれを仕事にしたいなと思ってたので、就職活動はラジオ局しか受けなかったんです。でもそこが全部ダメで。それでもどうにかしてラジオの現場で働きたいなって思い、20社近く受けてようやくラジオのミキサー(音響)の会社に潜り込みました。
ミキサーの仕事はいかがでしたか?
毎日怒られながらひぃひぃ言ってましたね。ただ、ラジオの業界に入った嬉しさはあったんですけど、僕はどっちかっていうと制作の方がやりたかったので上手く仕事にのめりこめなくて。そのうち先輩たちとの人間関係も上手くいかなくなって、「仕事」としてのラジオの現場は合わないのかなと思い、2ヵ月で辞めてしまいました。
その後はどうしてたんですか?
もう一度就職活動をやり直して今の会社(本業のプログラマー)に入りました。それが22歳とかの時ですね。それから3、4年間はもう全然ラジオや編集の世界からは離れてたんですけど、ちょうど4年目の春に、最初の就職活動の時に受けたTOKYO FMの面接官だった方とひょんなことで個人的に仲良くなって飲みに行くようにったんです。そしてある時その方の知り合いを交えて食事をすることになって。その方はライブハウスのプロデューサーで、「今度ウェブ業界で働いている人(プログラマーがメイン)のイベントをやりたいんだけどいい人いませんか?」と言ってたので、面白そうだなと思って知り合いのプログラマーに声を掛けてトークライブを主催たんです。そしたらそのイベントが結構話題になって、久々にイベント事に携わってみてやっぱり面白いなぁって目覚めたんです(笑)。それからですね。そのプロデューサーの方と思いついたことをとりあえずやってみようってなったのは。
肩書きは勝手に決めた
2.ではライターにはどうやってなったんですか?
ライターっていうのは実は勝手に名乗っていたんです。イベントなどの企画を持っていくときに何て名乗れば通りがいいかなと思って、最初は「構成作家」って名乗ってたんですけどそれはちょっと違うなと。それならブログもやってるしTwitterもやってるし、様々なトピックを取材しながら自分で文章に興してますっていう風に言えばまぁライターでも通じるのかなと思って「ライター」って名刺に入れたんです。そしたら知り合った方と名刺交換したときに「あ、ライターなんだ」ってなってお仕事を振ってもらうようになりました。書くことに関しては、もともとイベントの記事をTwitterの140文字にまとめるという事をよくやっていたのでそれがいい練習になっていたようです。
女川さいがいエフエム
3.このほか、最近活動している事とそのエピソードを教えてください。
震災以降から、女川(おながわ)町の災害FM「女川さいがいエフエム(79.3MHz)」の運営に参加しています。それまでは女川に縁も所縁もなかったんですけど、ちょっとしたきっかけから災害対策のラジオを立ち上げるという話を聞いて、手伝わせて頂けないかと申し出て、それから向こうのラジオを手伝っています。みんなと交じって色々やっていると、被災者っていうのを超えてすごく愛着が湧いてきて、ひとりの友人として向き合うようになりました。その瞬間から被災者を手伝いに行くっていう感覚が無くなって、今では好きな人達がいる街に行くっていう感覚に変わりましたね。
好きなことが出来るのは○○があるから
4.本業と副業を両立させるために必要なことがあれば教えて下さい。
本当は副業だけに時間を使いたいんですけど、いかんせん収入が安定しないので…。やっぱり副業が出来るのは安定した収入のある本業があるからだと思うし、しばらくはこの形を続けて二足、三足のわらじを履いてそれぞれの自分を持てればいいかなと思います。
旅館従業員のトレーディングカード
5.様々な活動を行っていますが、その発想や閃きはどこから湧いてくるんですか?
ベースになっているのはタレントの伊集院光さんですね。彼のラジオを小学生のころから聴いているんですけど、日常生活を面白く説明するのが上手いんですよ。本当に些細なことをうまーく膨らましてるっていうか、とりあえずなんでも面白がってやってみるというか、そこがルーツかなって思いますね。
そして小山薫堂さんという、映画「おくりびと」の脚本を書いた作家さん。その方も日常の要素を拾ってきてそれらを組み合わせて面白いアイディアにするっていう人で。面白かったのが、日光にある経営がやばくて潰れそうな旅館をプロデュースする話。従業員の方のトレーディングカードを作って、来たお客さんに従業員さんが名刺代わりに渡すようにしたんですって。それで、「従業員全員のカードを集められるでしょうか」とかいろんなことをやったんですよ。その発想の組み合わせが面白くて(笑)。
行って、会って、そして撮る
6.様々な引き出しをたくさん持つこと、新しいことに触れることが今の天谷さんを形成しているようですね。では、今後天谷さんのように同時に様々なことをやっていきたいという人にアドバイスをお願いします。
社会人経験がないんだったら、敢えて別の仕事を5年間やってほしいと思います。僕もそうだったんですけど、やっぱり何かしたいなしたいなって思ってるときって、それしか見えてないことが多くって。だから外の視点を持つことってすごく大事だと思うんですよ。
あと社会人経験のあるなしに関わらず、様々なところに出かけてたくさん人に会うこと。それから出来るだけ写真を撮ってくださいって伝えたいですね。
写真??どうして写真なんですか?
どこを見てるのかっていうのが形に残るんです。例えば「首都高の写真を撮ってください」って言っても、人によって全然違う写真を撮ると思うんです。全景を撮る人もいれば、変わったポイントにフォーカスして撮る人もいたりとか、その人が物に対してどこにスポットを当ててるかっていうのが「絵」として見えると思うんですよ。だから継続して写真を撮っていくと、自分が変わるタイミングで撮る写真も絶対変わってくる。自分を定点観測していく上でもいい方法かなって思いますね。
なるほど。そうすると自然に様々なところに出かけるし、人に会うことにもなりますね。
そうですね。あとは、いろんな人のしゃべり方を真似してほしい。口調というかしゃべり方って、その人の「間」の取り方とか性格が色濃く出てると思うんです。いろんな人の視点を身につけることってとても大事で、そうするためにはその人になりきるのが一番の近道なんです。有名人とかじゃなくて身近な人でいいんですよ。僕の好きな人で、西武線池袋駅の地下通路にある焼きそば屋さんに、一秒でも早く提供することに命を賭けてるような店員さんがいるんです。食券を買った瞬間に「待ってました!」とばかりの勢いで焼きそばを出してくれる。「あいっ!なんにしましょ? はいっすぐ出しますからっ!はいっお待ちっ!!」って感じで、ぱっと注文の品が出てくるんです。注文が入ってないときは手の動きとかをシュミレーションしてたりするんですよね(笑)。それを見ていると、「やり方によっては仕事もこんなにエキサイティングになるのか!」って。本当なんかジャッキー・チェンの映画に出てくるような勢い! (さっ、さっ、ぱっ「はいっお待ちっ!!」。と、早速真似をする天谷さん。そのテンションとジェスチャーに一同爆笑!)。こんな感じで身近な人のしゃべり方などを真似してみるんです(笑)。あとは会社の上司とか同僚とか。面白い人はいっぱいいますよ。
時間が空いたら
7.スキルアップするために努力していることはありますか?
とにかく移動をすることにしています。同じところに留まらないで、いつもどこかしらに行ってみる。移動して何かを見るようにしています。電車を使うことが多いかな。なんか暇だなと思ったらとりあえず電車。行き先は決めない時もあります。あとは本を読むこと。本屋さんには毎日顔を出すようにしています。新書とノンフィクションが好きで、社会学とか、社会の裏側を紹介するような、仕組みを解き明かす、みたいなものをよく読みます。
自分へのサプライズ
8.突然ですがかばんの中身が気になります。いつも欠かさず持ち歩いているものはありますか?
うーん。茶封筒ですかね。プレゼントとか旅行のパッキングとか、物を詰めたりパッケージングするのが好きなんですよ。茶封筒の使い方はチラシとかフリーペーパーを入れたりと、普通のクリアケースとあんまり変わらないですけど、封筒に入れておくとちょっとワクワクすると言うか。入れたそばから忘れたりしたときなんかは、開けた時に「あ!こんなの入ってたんだ」って、ちょっとした自分へのサプライズみたいな気持ちになります(笑)。
毎日がDifference&Discovery
9.何か変わった日課があれば教えてください。
コンビニで毎日違う飲み物を飲むようにしています。まずいって言われている飲み物も買ってみますね。「人はこういう味をまずいって言うんだ」って思ったりしながら飲んでます(笑)。ちなみに最近のヒットは、北海道旅行のときに見つけた「森の雫」っていう飲み物。100%白樺の樹液で出来てて、飲むと木の香りがふわーっと鼻に抜けて美味しいんですよ。あと日課と言えば、YouTubeやラジオとかで一日一曲知らない曲を見つけることにしています。
なるほど、おもしろいですね。では本日はありがとうございました!
(撮影協力: ソーシャルアパートメント 麻布十番クラウドhttp://bit.ly/q2kBpO)
編集後記
身振り手振りを交えて、時にはのけぞるように笑いながら高いテンションで楽しそうに話す姿が印象的だった天谷さん。このほか、神田の町がお気に入りだというお話なども伺いました。マルチに仕事をするには日頃からインプットが欠かせないようです。今回伺ったのはすぐに真似できそうな身近なアイディアばかり。みなさんもぜひ気軽に試してみてはいかがでしょうか? ちなみに私は早速コンビニに行って封筒とドリンクを買いました(笑)。
編集部のおすすめアイテム/人/場所
- 幻冬舎新書発行の「考えないヒント―アイディアはこうして生まれる」小山薫堂著/本体価格720円
- 飲料水「北海道のシラカバ樹液」
- 西武線池袋駅 地下改札わきフードコート 焼きそばコーナー担当の店員さん
- 御茶ノ水の「ジャニス(JANIS)」(中古CDのレンタル屋さん)天谷さんが良く足を運ぶ店
- ソーシャルアパートメント 麻布十番クラウド(現在天谷さんが居住しているアパート。クリエイティブな人々が集まり共同生活をしている)
interview&text 高良優希