ぶらぶら礼讃 1 ~社寺編~ 『東長寺』福岡市博多区御供所

休日のある日、何もすることはないなぁ~と思ったら、ちょっくら「地獄」へ出かけてみよう。もちろん長期滞在はナシ、痛いことも、苦しいことも拒否可能。まぁ…それだったら、と思ったアナタ、御供所へゴー!

「地獄」を垣間みることができるのは、博多区御供所にある東長寺。地下鉄「祗園駅」を降りるとスグに東長寺山門だ。ここは806年、弘法大師(空海)が開基した日本最古の霊場と伝えられる。真言宗九州教団の本山。創建当初は海沿いに位置していたところ、黒田忠之(二代目藩主)によって現在の場所(御供所)に移転。以降、黒田家の菩提寺のひとつとなる(黒田家の菩提寺は複数ある)。

山門から入って、“どこだ、どこだ、地獄はどこだ!”と欲望に任せて地獄に飛び込むのはルール違反。まずは寺の全体を外から見回すこと。建築に関して詳しく考える必要はナシ。屋根の重なり合い、反り具合、空の色に映える瓦、大きく深呼吸して東長寺にあいさつすることが大事。

●地獄はココだ!
日本一の大きさを誇る「福岡大仏」は檜造の座像だ。像高10.8m(煩悩108個に合わせた数字)、重さ30tの釈迦如来が“さぁ、悩みを打ち明けてみよ”とゆっくりこちらに話しかける。
「福岡大仏」の台座の下が、目的の「地獄・極楽めぐり」。地獄八景の絵が飾られている。絵の大きさは約B全(1030×1456)程度、大きくはない。人が想像するあらゆる痛みが、画面狭しと描かれている。平面の画だけではアイデア不足と思ったのか、鬼や炎に立体感を持たせた雰囲気作り。視覚だけではなく、耳からも地獄の怖さを思い知らせるアナウンス付き。

daibutsu写真提供福岡市

写真提供福岡市

絵の順番は、「三途の川→閻魔大王の裁判→賽の河原→無間地獄→大焦熱地獄→大叫喚地獄→餓鬼道→畜生道→阿修羅道」となる。まずは、三途の川を渡って閻魔様に接見だ。ここで極楽または地獄へ行くルートが決まる。現世で善行を行っていれば、この裁判は免除される仕組みらしい。運悪く閻魔大王の裁判を受けることになったら“ごめんなさい、体重はいつもウソ申告”と正直に話しておこう。浄玻璃鏡で嘘は簡単にバレる。

絵には業火で2000年焼かれるとか、串刺しの痛みを延々と受けるとか、飢えと喉の乾きに苦しむとか、恐怖弁当でお腹いっぱいになってくる。ゲンナリした頃、最後の「阿修羅道」にアメコミ・ヒロインを発見した。画家も気分転換に洋風モノを取り入れたくなったのだろう。

地獄絵が終わると、真っ暗な無音、無視界の「闇」に入る。本当の地獄はココだろう。今までは、炎に焼かれたり、串刺しなど問題を抱えていても孤独ではない。隣の人と“今日はいつもより痛いね”とお互いを心配し合える状態だ。鬼も何かとこちらの世話を焼く。

ところが、闇トンネルは見捨てられたようにひとりきりだ。誰かと一緒だとしても、相手を見ることができないだけに不安が消えることはない。左手の手すりを握り、真っ暗な中ゆっくりと歩いても「地」がフラフラ揺れている感覚に襲われる。時間にすると数分の闇旅。“いつまで続くのだろう…”という感情が限界にきたとき、うっすらと光が射す。その先に地蔵様が待っていてくれる。誰もがホッとする瞬間だ。

ここで安心してはいけない。闇旅の途中「輪」に触ったか考えること。輪は極楽行きの切符らしい。出口周辺に存在するという噂だが、一度も確認できない。心が清らかな人限定なのだ…。私の薄汚れた心、石鹸で洗った後に再度トライしよう。もちろん手洗い必須。洗濯機で他人任せはイケナイ。

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東長寺へのアクセス
所在地
〒812-0037 福岡市博多区御供所町2-4
アクセス
・地下鉄「祇園駅(1番出口)」から徒歩1分

・地下鉄「呉服町(5番出口)」から徒歩15分
・シティループバス「ぐりーん」櫛田神社・博多町家ふるさと館前から徒歩3分
・シティループバス「ぐりーん」博多駅交通センターから徒歩7分

Rica Yukutake

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