カテゴリー:藍沢 聖架
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フィンセント・ファン・ゴッホ ~誰が画家を殺したのか~1
平凡な日曜日、麦畑に一発の銃声が轟いた。その途端、少年が後ろに付き飛ばされたかのように尻餅をつく。同時に、正面に立っていた男も大きく後ろによろけた。もう一人の少年も凍りついたように動かない。ここにいる一人が撃たれ、一人…詳細を見る -
夢の逃亡者 ~オディロン・ルドン~
揺れる空を見ていた。 青い大空に浮かんでいるような気分だった。 延々と馬車に揺られているうちに、その心地良さは次第に心細さに変わった。 生まれてすぐに赤ん坊は馬車の荷台に乗せられ、里子に出された。 …詳細を見る -
万能の自由人 ~モーリス・ド・ヴラマンク~
もしその年にパリの展覧会を訪れていたら、猛獣の雄叫びをこの耳で聞くことができたのだろうか。荒れ狂う獣をこの目に焼き付けたのだろうか。我ながら軽薄だとは思うが、私はそれを少し残念に思う。 人気画家の作品が飾られた展示室で…詳細を見る -
ジャン=バティスト・カミーユ・コロー ~素敵な勘違い~
待ち合わせのカフェには5分早く着いたが、窓際に彼の横顔があった。通りの向こうに大きな公園があり、都心とは思えないほど豊かな緑が楽しめるこの店は、彼のお気に入りだった。彼女がガラスをノックすると、彼は眩しそうに目を細めて「…詳細を見る -
アンドリュー・ワイエス ~世界一有名な密会~
嘘をつくことは難しい。 バレない嘘や良い嘘をつくことは難しい。 しかしそれ以上に、不要な嘘をつかないことこそ難しい。 誰もが子供の頃に、「嘘をついてはいけません」と習ったはずだ。 それなのに今では日常…詳細を見る -
カミーユ・ピサロ ~画家ピサロは今も生きている~
学生時代、探偵の手伝いをしたことがある。電話での調査を担当していたので尾行や聞込みといった経験はできなかったが、未知の世界を知ることはできた。映画や小説に出てくるようなハードボイルドな依頼は非常に少なく、浮気調査や素行調…詳細を見る -
アメデオ・モディリアーニ ~無責任な横顔~
無理だと分かっていても、諦めがたい事がある。コレさえ捨ててしまえば、情熱も一緒に忘れられるのだろうか。青年は迷っていた。手にした石の塊は、青年の今の心のように重たかった。 「そんなもの、河に投げてしまえ。ただの石さ。持…詳細を見る -
「フリーダ・カーロ ~浮気の中の純愛~」
男は葬儀の始まる前から俯いて背中を震わせていた。声を殺して泣いているのであろうことは、遠目に見ても明らかだった。棺に寄り添うように座った男は弱々しく、普段よりもずっと小柄に見えた。 朝、女が死んだと告げられた。男は…詳細を見る -
「トゥールーズ=ロートレック ~両親の肖像~」
「この赤いバラ2本。あとね、そっちの八重咲きの白いトルコキキョウも1本いれて」 「ご自宅用で?」 「ううん、今日はお見舞い。お友達がバイクで両足を骨折しちゃったらしくてね。きっと病院で年越し。災難すぎるでしょ?」 …詳細を見る -
芸術家の横顔 =Artists' profile= エドヴァルド・ムンク ~家族を求めて~
芸術はそんなに遠い存在ではない。 手に入らないような高額で高尚なイメージがあるが、 家でソファーに座って歌を聴きながら本を読む。 それが芸術だ。 建築も家具も音楽も文学(詩)。それが芸術。 外に出れば道を照らす…詳細を見る